ZBC#52 [日本式外交のロールモデル] - 小村寿太郎

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課題図書

今回は2017年7月19日に開催されたZenport Book Club #52の図書の中から小村寿太郎をご紹介致します。

小村寿太郎 - 近代日本外交の体現者 (中公新書)

小村寿太郎 - 近代日本外交の体現者 (中公新書)

日本の外交力

戦後の日本しか知らない我々は、それに対し好意的な印象を持つことは難しいでしょう。

しかし、本書で取り上げられる小村寿太郎が、外交の一線で活躍した日清戦争からポーツマス条約締結に至るまでの期間は、日本の外交力は一流だったと言っても過言ではありません。

そんな彼の外交哲学とはどんなものだったのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 小村は日向国飫肥藩の生まれであり、非藩閥であった。しかし幼少からその能力を高く評価され、大学南校進学(後の東京大学)、第一回文部省留学としてハーバード大学に留学、外務省入省、果ては外務大臣という足跡を残していく。

  • 小村の外交官としての最大の成果は、日英同盟締結、並びにポーツマス条約の締結である。彼はその粘り強い精神力、類まれな勉強量に裏付けられた洞察力により、日本の国益に寄与する稀有の実績を多く残した。

  • 小村は、貪欲に国益を追求する外交官だった。彼は日本の国益を追求できる場面ではやや強引とも呼べれる形で自説を押し通した。一方で、彼は国際協調を重視するバランス感に優れた外交官でもあった。それは日露緊張時の日英同盟の締結、日露戦争後に素早く結んだ日露協約などに垣間見ることができる。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

以前取り上げたニクソンの外交における強みが大局観だとすれば、小村の強みは、その粘り強さだと言って良い。ポーカーフェイスを貫き感情を出さす、相手が折れるまで粘る。シンプルなように見えて実は交渉に一番必要なことを、彼は外交の最前線で体現した。私はここに、日本人が目指すべき交渉のモデルがあるように思える。


近代日本、少なくとも第二次日英同盟までの外交は一流であったと言っていい。パワーバランスを考慮し、自国の国益を貪欲に追求しつつも、引くところは引く。その動きは一流棋士棋譜のようでもある。

まとめ

今回は、近代日本外交の体現者、小村寿太郎の生涯を綴った小村寿太郎を取り上げました。

次回はZBC#53で発表された原爆を盗めをご紹介します。

Zenport Book Club #52:その他の発表図書、関連図書

新訂 蹇蹇録―日清戦争外交秘録 (岩波文庫)

新訂 蹇蹇録―日清戦争外交秘録 (岩波文庫)

桂太郎 - 外に帝国主義、内に立憲主義 (中公新書)

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ポーツマスの旗 (新潮文庫)

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ZBC#51 [アメリカの起源] - ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる

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課題図書

今回は2017年7月15日に開催されたZenport Book Club #51の図書の中からベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるをご紹介致します。

ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる

ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる

ベンジャミン・フランクリン

アメリカ建国の父としてだけではなく、資本主義の父としても知られる彼は、これまで、実利的なアメリカ人の典型として捉えられていました。

しかし、本書の著者であるゴードン・S・ウッド教授は、彼は英国の形式的な階級制文化に憧れた人物であったと説きます。

そして、その憧れに裏切られたため、彼はアメリカ人になることを選んだのだと。

一体、彼がアメリカの象徴になるに至った背景とは、どのようなものだったのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • ベンジャミン・フランクリンはイギリス領北米植民地に生まれ、身分の低い印刷職人として人生をスタートさせた。本事業で身を立てた彼は、資産家として財を蓄えた後、イギリス内で紳士階級に登り詰めることに成功する。

  • フランクリンは人生の多くの時間を、ヨーロッパ、主にイギリス本土やフランスで過ごした。その期間、多くのヨーロッパの知識人と交流した。彼はその知性、人柄によって、ヨーロッパにおいて絶大な人気を得た。

  • 彼は当所、イギリスの階級制に憧れを抱いていた。また王政派でもあった。しかし、アメリカ独立紛争時に英国議会と意見の対立を見たことにより、彼はアメリカ支持に転向した。後に、彼はアメリカ独立を強く後押しすることとなる。

  • 彼は一般に、自由と機会の国アメリカの象徴として扱われることが多い。しかし彼の実像は、イギリス的な階級社会君主制に憧れながら、それに拒絶され、アメリカ人となることを選んだ人間だった。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

先日、うめ先生という漫画家の方が、ストーリーは「AはBのためCをしたが、目標は達せず、かわりにDを手に入れる」という構成にすると読者の心をつかみやすい、と仰っていた。ベンジャミン・フランクリンの人生は、まさにこのストーリーに沿っていることがわかる。これが、彼が今でも広く支持される理由なのだろう。


建国のダイナミズム、そしてそれに携わるリーダーの生き様は、後世の人を惹きつけて止まない。アジアに限ってみても、大久保利通、鄧小平、リー・クアンユー等の歩みは、後世から振り返るだけでも興奮するものだ。また一方で思うことは、建国の際に、国益を最優先できるリーダーを抱けることは、国家として無上の幸いだということだ。自分の私腹を肥やすリーダーがトップに上り詰め、国家が貧する事態は、まま起こる身体。この「公を考えるリーダーの生み方」についての考察は、引き続き行っていきたい。

まとめ

今回は、アメリカ建国の父の素顔を著したベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるを取り上げました。

次回はZBC#52で発表された小村寿太郎をご紹介します。

Zenport Book Club #51:その他の発表図書、関連図書

フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

アメリカのデモクラシー (第1巻上) (岩波文庫)

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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ZBC#50 [卓越した大局観] - 戦略家ニクソン

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課題図書

今回は2017年7月12日に開催されたZenport Book Club #50の図書の中から戦略家ニクソンをご紹介致します。

戦略家ニクソン―政治家の人間的考察 (中公新書)

戦略家ニクソン―政治家の人間的考察 (中公新書)

第37代米国大統領リチャード・ニクソン

彼に対する後世の評価は、ウォーター・ゲート事件によって、決して高いとは言えません。

しかしながら彼は在任中に、世界史に名を刻む数々の外交成果を残しました。

彼が残した成果とは何なのでしょうか?

また、彼の外交姿勢の基盤となったものは何のでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 第37代米国大統領のリチャード・ニクソンは、外交において多大なる功績を残した。米ソのデタント推進、ベトナム戦争終結は、彼の数ある功績のうちの1つだ。しかしながら、彼の最大の功績は、米中国交正常化の道を開いたことである。

  • ニクソンは米国経済の発展、ソ連牽制の意味合いから、米中間での国交樹立が必須だと考えていた。しかしながら、歴史的背景により、米国は表立っては中国に接近出来ない状況であった。そんな状況の中、彼は極秘チームを組織し周到な準備を行い、パキスタン経由で中国との交渉を取り付けることに成功した。

  • ニクソンの外交は大局観に優れていた。彼は常に外交を二国間では捉えず、国際社会を盤面として捉えていた。彼のこの外交姿勢は、英国元首相のディズレイリ、ドイツ元首相のアデナウアー、そして彼に大統領補佐官として仕えたキッシンジャーに影響を受けたものだった。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

ニクソンの対中接近時の情報管理は徹底していた。その内実を知っていたの政府内でも彼とキッシンジャーだけ。同盟国であった日本にも事前通知は一切行われなかった。敵を欺くには先ずは味方から。沈黙の大切さを思い知らされる。


ニクソンの外交、それはリデルハートの間接的アプローチの原則に沿っている。事前の周到な準備、決して正面からは向かわず空白地帯から攻める姿勢。然るべき理論を忠実に実効するその能力は、賞賛せざるを得ない。

まとめ

今回は、過小評価された英雄を説いた戦略家ニクソンを取り上げました。

次回はZBC#51で発表されたベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるをご紹介します。

Zenport Book Club #50:その他の発表図書、関連図書

指導者とは (文春学藝ライブラリー)

指導者とは (文春学藝ライブラリー)

小村寿太郎 - 近代日本外交の体現者 (中公新書)

小村寿太郎 - 近代日本外交の体現者 (中公新書)

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ZBC#49 [間接的アプローチ] - リデルハート戦略論

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課題図書

今回は2017年7月8日に開催されたZenport Book Club #49の図書の中からリデルハート戦略論をご紹介致します。

リデルハート戦略論 間接的アプローチ 上

リデルハート戦略論 間接的アプローチ 上

アレクサンダー大王の時代からヒトラーの没落まで、期間にして凡そ25世紀、実に280件近くにも上る戦争を読み解いたリデルハートは、ある戦略の本質を突き止めます。

即ち、戦略には間接的アプローチこそが求められると。

またその理由を、戦略と大戦略の関係に見出します。

彼の説く、間接的アプローチ、そして大戦略とは一体どのようなものなのでしょうか。

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 古代ギリシャ時代から、第二次世界大戦に至るまでに行われた、計280件にも及ぶ戦闘。そこから導かれた帰結は、軍事戦略においては間接的アプローチが求められるというものだ。ここで言う間接的アプローチとは、正面衝突を避け、間接的に相手を無力化させる戦略の事を指す。

  • 軍事戦略とは、大戦略(国家戦略)の下に位置づけられるべきである。大戦略とは、国家をどう発展させるかという、主に政治家に帰属するものである。その前提を忘れ、軍事戦略が暴走すると、勝利しても国家の土壌が毀損され、発展が妨げられる事態になりかねない。間接的アプローチが求められる理由もそこにある。

  • 戦略の本質を記した古典として、クラウゼヴィッツの戦争論がある。これは確かにモルトケ等の手によって、プロイセン、並びにドイツの隆盛を促した。しかしこの戦争論には大戦略の観点が欠落していた。これが第一次世界大戦第二次世界大戦後の混乱を引き起こした。

  • 間接的アプローチの観点に立つ場合、以下の8つ側面に注意する必要がある。

      1.目的を手段に適合させる
      2.常に目的を銘記する
      3.最小予備線を選ぶ
      4.最小抵抗線を利用する
      5.代替目標を併せ持った作戦線をとる
      6.状況に適合するように、計画と配備の柔軟性を確保する
      7.敵が警戒している間は、我が兵力を打撃に投入しない
      8.一度失敗した後に、同じような方向に沿って再び攻撃を行わない
    

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

リデルハートの戦略は、孫氏のそれと驚くほど似通っている。リデルハートは自説を導いた後に孫氏を知ったようなので、これが時を超えた普遍の理論だということが分かる。時は流れても、主体が人間であるかぎり、戦略の本質は変わらないのだろう。


私たちは得てして、戦いとはゴングと共に始まるものだと思っている。しかし実のところは、戦いとはゴングが鳴らずに始まり、そればかりか、ゴングが鳴らぬ間に、既に終わっているものなのだろう。


マハン海上権力史論や、米中もし戦わばを呼んだときにも思ったが、昨今の中国の動きはこの間接的アプローチに忠実に沿っている。その意図の是非はともかく、中国首脳部の優秀さは認めざるを得ない。

まとめ

今回は、間接アプローチの重要性を説いたリデルハート戦略論を取り上げました。

次回はZBC#50で発表された戦略家ニクソンをご紹介します。

Zenport Book Club #49:その他の発表図書、関連図書

新訂 孫子 (岩波文庫)

新訂 孫子 (岩波文庫)

戦争論〈上〉 (中公文庫)

戦争論〈上〉 (中公文庫)

マハン海上権力史論 (新装版)

マハン海上権力史論 (新装版)

知恵の七柱 (1) (東洋文庫 (152))

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ZBC#48 [自由あればこそ] - 隷従への道

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課題図書

今回は2017年7月4日に開催されたZenport Book Club #48の図書の中から隷従への道をご紹介致します。

隷従への道―全体主義と自由

隷従への道―全体主義と自由

ファシズムの台頭と崩壊を目撃したハイエクは、国家のあり方について一つの洞察を示します。

すなわち、計画より自由であると。

その真意とは、何なのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • ファシズム共産主義は対立しない。両者は市場の代わりに中央計画経済を信奉している点で、同一のものである。なおのこと言えば、ファシズムとは共産主義の延長線上にあるものである。

  • 計画経済が失敗する理由、それは完全な価値基準が個人には存在していないからだ。そのため、一部の人間が意図的に計画する経済は失敗することになる。

  • このような危険から国家を救うには、自由主義個人主義推し進めることが必要である。市場における個人の自由な活動こそが、国家、文明の発展には必要なのである

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

社会主義、計画経済というものは、耳障りの良いものだ。そこで語られる未来は、誰も否定が出来ないものだろう。しかしこの問題点は、人間の能力を過大評価しすぎていることだ。自分たちは全て管理して良い世界を作れる、その誤解が破滅を招く。それは第二次世界大戦後の共産主義国家の帰結を見れば明らかである。地獄への道は善意で舗装されている。組織運営に必要なことは、自分立ちの可能性を過大評価せず、その前提で組織を設計するということなのだろう。


本書は自由の必要性を解くが、フロムが「自由からの逃走」で問いたように、自由とは重たいものだ。人はどこかで誰かに管理されたいと思っている。私はその理由は、選択の重さにあると思っている。過剰に存在する選択肢、予測しきれない選択後の結果、この2つが脳を圧迫し、結果、個人に選択を放棄させているのだと思う。

まとめ

今回は、個人の自由の必要性を説いた隷従への道を取り上げました。

次回はZBC#49で発表されたリデルハート戦略論をご紹介します。

Zenport Book Club #48:その他の発表図書、関連図書

自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版

自由論 (日経BPクラシックス)

自由論 (日経BPクラシックス)

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ZBC#47 [胡椒と植民地主義] - 胡椒 暴虐の世界史

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課題図書

今回は2017年7月1日に開催されたZenport Book Club #47の図書の中から胡椒 暴虐の世界史をご紹介致します。

胡椒 暴虐の世界史

胡椒 暴虐の世界史

胡椒

この芳醇な香りを抱いたスパイスは、15世紀当時、最高級の嗜好品として富裕層に消費されていました。

それゆえ、その富を手にするべく、当時、多くの荒くれ者がヨーロッパ人が船を出し、アジアへと向かいました。

この動きは、大航海時代の幕開けとなり、後の植民地主義の契機ともなりました。

要旨

  • 胡椒は、15世紀の大航海時代の象徴とも呼べる存在だ。これはインドや、インドネシア等のアジアの熱帯地方にしか育たない植物だったので、流通が発生していない当時は、高級品として取引されていた。これを一攫千金のチャンスと捉え、ヨーロッパから多くの荒くれ者が、アジアに向けて船を出した。その中には、かのバスコ・ダ・ガマも含まれている。

  • 胡椒の覇権は、それ自体、アジアでの覇権を意味していた。最初にこの地位を手にしたのはポルトガルである。その後、その地位はオランダ、イギリスと遷移していく。この競争は植民地主義のキッカケともなった。

  • 胡椒は会社という組織の発展も後押しした。かの有名な東インド会社は、胡椒を含むスパイス貿易を取り締まる機関として設立された。胡椒の存在は、商業活動の歴史にも大きな影響を与えているのである。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

胡椒が富の象徴となり、結果、原産国に負の遺産を残したという帰結は、砂糖のそれと大きく重なる。またその姿は、現代の石油と産油国の関係にも重なる。土地が豊かであるということは、非対称性の多い世界においては、むしろ負の影響を


メインディッシュとはなりえない胡椒が、これだけの価値を持てたことは、B2Bビジネスの可能性を示唆している。肉、魚、野菜などの食物がB2C食物だとするならば、胡椒はB2B食物と呼べるだろう。しかし、全てのB2C食物の価値を高められるという使いやすさ故に、胡椒はB2C食物を凌ぐほどの価値を有するに至った。B2Bビジネスの本質が胡椒から透けて見えるようだ。

まとめ

今回は、胡椒が世界史に及ぼした影響について説いた胡椒 暴虐の世界史を取り上げました。

次回はZBC#48で発表された隷従への道をご紹介します。

Zenport Book Club #47:その他の発表図書、関連図書

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術

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ZBC#46 [戦に勝つのは兵の強さ] - ルワンダ中央銀行総裁日記

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課題図書

今回は2017年6月24日に開催されたZenport Book Club #46の図書の中からルワンダ中央銀行総裁日記をご紹介致します。

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

要旨

  • 服部正也氏は、IMFの途上国支援の一環として、1965年からの6年間、ルワンダ中央銀行総裁を勤めた人物である。彼がルワンダで行った様々な政策は、その後10年程度の間、ルワンダ経済の順調な発展を後押しした。

  • 彼の在任時の業績は主に二つある。一つは通貨改革だ。氏は先ず、二重為替相場制度を廃止し、ルワンダ・フランの対外価値を自由相場並みに切り下げて一本化した。また並行して、外国人優遇税制を廃止し、財政再建を行った。

  • 彼のもう一つの業績は、農業をルワンダ経済の持続的発展の基礎におき、ルワンダ人商人の育成を重視したことだ。彼はその一環として、貯蓄金庫を通じたコーヒー集荷資金への融資、市中銀行からのルワンダ商人向けの運転資金融資など、中央銀行総裁の枠を超えた試みを多数行った。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

服部氏のマネジメントは、現場を知り、彼らが自発的に行動する環境を作るということに終始している。これは後藤新平の台湾統治にも通じるものだ。先人の業績にはマネジメントの要諦が詰まっている。


服部氏は組織の盛衰について次のような見解を述べている。すなわち「戦に勝つのは兵の強さであり、戦に負けるのは将の弱さである」と。これはつまり、トップが無能でも、現場の人間が一生懸命働けば、組織は発展できるということだ。この言葉を真として捉えるならば、トップが最も時間を割くべきは、自らの能力向上ではなく、現場の人間が一生懸命働くための環境作りなのかもしれない。

まとめ

今回は、服部正也氏のルワンダでの活躍について説いたルワンダ中央銀行総裁日記を取り上げました。

次回はZBC#47で発表された胡椒 暴虐の世界史をご紹介します。

Zenport Book Club #46:その他の発表図書、関連図書

なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか―PKO司令官の手記

なぜ、世界はルワンダを救えなかったのか―PKO司令官の手記

国際金融入門 (岩波新書)

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後藤新平―外交とヴィジョン (中公新書)

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