Sendee Book Club vol1【国家はなぜ衰退するのか】

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弊社では毎週土曜、会社外の方も交えた読書会「Sendee Book Club(以降:SBC)」を開催しています。この会の目的は

「点と線から未来を読み解く」

ことです。

ここで言うとは現在のこと、そしてとは過去から現在に至る歴史のことを指します。
 

今後当ブログで、読書会にて披露された要旨と見解をお届けします。要約だけ読んでも役に立つと思うので引き続きお読みいただければ幸いです。

今回は2016月9月17日に開催された第1回で発表された書籍「国家はなぜ衰退するのか」の要旨と交わされた意見についてご紹介していきます。

 

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

世界にはなぜ豊かな国と貧しい国が存在するのか? 

皆さん御存知の通り、世界には豊かな国と貧しい国が存在します。しかしそれはなぜなのでしょうか?「銃・鉄・病原菌」で有名なジャレド・ダイアモンドは著書で、地理が1つの要因であると述べていました。(もちろんそれだけが理由ではありません) 
しかしその場合、以下の近接している国々の間での貧富の差を説明できません。

では、貧富の差はなぜ生まれるのでしょうか?

この問いに対し二名の著者、マサチューセッツ工科大学の経済学教授であるダロン・アシモグルとハーバード大学教授ジェイムズ・A・ロビンソン等は

収奪的な制度が国家を衰退させる(貧しくさせる)要因である

と回答します。

この要点にも関わる形で本書の要旨は以下の3点にまとめられます。

  1. 国家が衰退するのは、小数のエリートが国家を支配し、収奪的な制度を構築するため。
  2. 国家が繁栄するには多数の人が貯蓄、投資、革新のインセンティブを持てる包括的な制度を作る必要がある。
  3. 現代の中国の繁栄は収奪的な政治制度の上に包括的な経済制度が載った形での繁栄である。この繁栄が包括的な政治制度の上での繁栄のように持続可能を持つのか、今後10年の動向を注視する必要がある。

収奪的だから衰退すると言い切れるのか?発表者の答えはNO

本書の内容に対し、参加者からは以下のような意見が述べられました。

  • 収奪的制度=衰退、包括的制度=繁栄という二元論は安易すぎる。筆者は収奪的制度=中央集権、包括的制度=分権として、中央集権すらも否定しているが、その展開は短絡的にすぎる。人類史において中央集権が繁栄をもたらした例はある。
  • 反権力が行き着く先は解放ではなく、新しい権力であるという点には同意する。人間は手に入れたもの権力に固執するものであり、その縛りからは逃れられない。
  • 収奪的な制度の発生を防ぐにはどうすれば良いのだろうか?解は2つあるだろう。1つは公を第一に考えられるリーダーが改革を行うこと。もう1つは個人もしくは一部の小数集団に権力が集約しない形で改革を行うこと。前者は偶然に左右されるため、仕組み化するためには後者が良いのが、今のところ後者の形は考えつかない。
  • 本書の帰結、「国家は包括的制度であれば繁栄し、収奪的制度であれば衰退する」は企業にも当てはまるだろう。投資・革新を起こすインセンティブを社員に与える仕組みを今後取り入れて行きたい。

本書に対し皆さんはどんな意見を持たれたでしょうか?

意見を交わしたい方はぜひ次回のSBCにご参加ください。

 

Sendee Book Club参加者募集 

  • 自分では気付けなかった良本に出会いたい方

  • 読書のアウトプットの場がほしい方

  • 他者の要約を通して効率的に書籍の情報をインプットしたい方

上記に該当する方は是非とも参加をお待ちしています。
 

参加申込みはコンパスから行ってください。

ご質問ありましたら、Sendee Book Club事務局 sbc@sendee.jpまでご連絡ください。

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SBC第一回:発表図書、関連図書

  • 暗号解読
  • 銃・病原菌・鉄

 

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)