Sendee Book Club vol2【人類と細菌は互いに支え合っている!?】
課題図書
今回は2016/9/24に開催したにSendee Book Club (SBC)第二回にて紹介された図書の中の一冊あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめたをご紹介します。
- 作者: アランナコリン,Alanna Collen,矢野真千子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/08/10
- メディア: 単行本
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筆者はイギリスのサイエンスライターであるコリン・アランナ、 彼女自身がロンドン大学で生物学の博士号を取得している研究者でもあります。*1
早速、要旨を見ていきましょう。
要旨
- 人は生命活動の大部分に、体内の細菌の力を借りている
- 20世紀後半から増えている、肥満、アレルギー、精神病などの所謂20世紀病は人体内の細菌の構成が変わったことが原因。その変化には抗生物質や現代の過度の無菌環境が影響を与えている。
- 細菌も、それを殺す抗生物質も、共に絶対の悪でもなく善でもない。大切なのはバランスなのだ。
どうでしょうか?人類と細菌は共に共生することで繁栄してきたこと、そのバランスの変化が現代に散見される病を引き起こしているという仮説は大変興味深いものですね。
参加者の見解
では本書籍の内容に対して、参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?
人類は分業制で繁栄したが、生物自体も分業制で繁栄してきたという事実は大きな気付きであった。やはり人類は、いや生命は、種全体の繁栄を達成するためにも自分がすべきことだけに注力し、その他のことは他者を頼るべきなのである。しかしそこには、他者への信頼・尊敬と共に、適度な競争関係が必要なことも忘れてはならない。
抗生物質の本来不要な症状への投与は細菌の進化を加速させるため避けるべきである。しかし現代ではこのような事態が数多く起こっている。これは医師の無知に依る部分もあるだろうが、過剰なリスク回避を強要する現代社会にも責任はあると思われる。
体重変化は ⊿体重 = 摂取カロリー - 消費カロリーという単純な式では表現できないという知見は貴重な学びであった。しかしそもそも、性質の異なる食物を全て「カロリー」という単位に集約させるモデル化は余りにも短絡的であり、それを信じていた自分も浅はかだったと言う他無い。同様のことは他の分野にも当てはまるだろう。今後推論を行う際にモデルを単純化しすぎていないか注意する必要がある。
いかがでしょうか?本書を呼んで皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか?
次回は第3回SBCで発表されたヤノマミを取り上げます。
SBC第2回:その他の発表図書、関連図書
歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)
- 作者: マーク・ブキャナン,Mark Buchanan,水谷淳
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: 文庫
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繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: マット・リドレー,大田直子,鍛原多惠子,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 文庫
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