Sendee Book Club vol3【ヤノマミ・文明・真理】

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課題図書

今回は2016年10月1日に開催されたSendee Book Club 第3回で取り上げた図書の一冊 ヤノマミをご紹介致します。

ヤノマミ (新潮文庫)

ヤノマミ (新潮文庫)

著者はノンフィクション作家であり、またNHKのディレクターでもある国分拓。本書は彼がアマゾンに住む原住民「ヤノマミ族」を同居取材した際の見聞をまとめた書籍です。

早速、要旨を見ていきましょう。

要旨

・本書はアマゾンの奥地にあるワトリキと呼ばれるヤノマミ族の保護区に150日間滞在した著者による体験を綴った書籍である。著者はヤノマミの人々との滞在をもとに、「呪術」、「家族」、「狩猟」、「性」、「出産」、「死」、文明社会の価値観を根底から覆す彼らの剥き出し生と死をリアルに映し出している。

・虚構がまかり通る私たちの生きる社会とは対照的に、ヤノマミの世界には「生も死」も、「聖も俗」も、「愛も暴」も全てが同居している、ただ「真理」だけがある社会に彼らは生きている。

どうでしょうか?ヤノマミ族のフィルターを通すと、文明社会にいる我々が普段常識だと考えているものは全て虚構に転化してしまうようです。そこで残った剥き出しの真理。そこには「人とは何か」という問に対する示唆がありそうですね。

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

人類学の研究によると、旧石器時代の宗教には「真理」しかなかったとされている。その後新石器時代になり「善悪」や「規範」という概念が現れ、規範に従わないものは悪であり排除され、そこに「権力」という概念が生まれた。奇しくもそれが「文明」を生み出す要因となったのだろう。

真理しか無かった世界に、人類は善と悪という概念を生み出した。それが権力、規範、文明を生み出したという論説は大変おもしろいですね。 言わば、善悪とは人類が開けたパンドラの箱なのかもしれません。

ヤノマミの世界では、子供が生まれると母親はその子を人間として迎え入れるか、精霊として自然に返すためにその場で子を殺すかの選択を迫られる。これは私たちの生きる社会においては完全なる「悪」であるが、ヤノマミの世界においては「真理」でしかない。彼らの行為を我々の基準で断ずることは正義なのか。この善悪の溝を埋めることは果たして可能なのか。

善と悪を生み出し文明に生きる我々が、真理のみの中で生きる彼らの行為を断ずることは正義なのか。いやそもそも正義とは何なのか。ヤノマミは私達に答えの無い問いを投げかけているようです。

本書を呼んで皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか。

まとめ

今回はアマゾン原住民の生活を映し出したヤノマミについて取り上げました。 次回は第4回で発表された重力波は歌うを取り上げます。

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ヤバい社会学

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