Sendee Book Club vol4【重力波が奏でるは宇宙の調べ】

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重力波は歌う

今回は2016年10月8日に開催されたSendee Book Club #4で取り上げた図書の一冊 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち をご紹介致します。

重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

本書の著者はジャンナ・レヴィン。本コロンビア大学バーナード・カレッジの物理学・天文学教授でもある彼女は、重力波検出を実現したLIGOのの研究者達へインタビューを行い、この世紀の発見の裏側にどんなドラマがあったかを明らかにしました。

人類と重力波との初めての邂逅の裏には何があったのでしょうか?

早速要旨を見ていきましょう。

要旨

・米国のレーザー干渉型重力観測所(LIGO)は、2015年9月重力波の観測に成功した。これにより人類は宇宙を解明する新しい耳を手に入れた。

・存在するか分からない、かつ検証に多大なるお金がかかる重力波の実験を実現させた最大の要因は科学者たちの信念であった。

・ビッグサイエンス(多大な人員と予算を費やして真理の解明に挑むこと)の成功には、科学的な素養だけではなく政治的素養も求められるのだ。

いかがでしょうか?重力波発見の裏には、科学的な試みではなく政治的な駆け引きもあったようです。偉大なる成果には、真理に対する真摯な姿勢だけでは足りず、人間社会の綾をとき解くしたたかさも必要なようです。

補足

重力波とは質量を持つ物体の周囲の時空が歪みその運動が波動として伝わっていく現象。重力波は物質媒介無しで伝わる。素粒子によって伝わる波である電磁波とは異なる。

重力波の検出は困難を極める。LIGOが観測した重力波は、陽子の直径の1/10,000に満たない長さだけ地球を引き伸ばした。しかしそのエネルギーは太陽10億個分の1兆倍を上回るという途方もないエネルギー。LIGOはそれを、一辺4kmのL字型計測器を用いて計測した

重力波の一番の特徴では透過性の良さ。これにより重力波は光や電波でえないブラックホール中性子星の解析に応用できると期待されている。同様の理由によって重力波は、宇宙の誕生(ビッグバン)直後を見ることができる唯一の手段であると考えられている。

http://granite.phys.s.u-tokyo.ac.jp/168/168.htm

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

真理の探求には大いなる困難が伴うものである。それは世界の一流の頭脳を集めた場合でも例外ではない。逆説的に言うならば、名も知られていない人間が真理の発見だと称して吹聴することは、常に警戒してしかるべきである。

古今東西、情報の非対称性を利用してハッタリをかます人間は後を立ちません。しかしそのような場合、私たちは情報の真偽を判断するための前提知識を有していないことがほとんどです。そんな場合でも、現代において科学の新発見というものは世界の一流の頭脳と潤沢な予算をもってしても難しいということを理解しておけば、怪しい言説に惑わされずに済むでしょう。

先端的な科学は常人には到底理解できるものではなく、その有用性も伝えられるものではない。またその時点では化学者でさえ社会における有用性はわかっていないことが多い。そんな状況でいかに税金を使って科学を進めていけばいいのだろうか?これは民主主義のジレンマと言えるだろう。

いかがでしょうか? 本書を呼んで皆さんはどのような感想をもたれたでしょうか。

まとめ

今回は人類初の重力波の検出の裏側を描いた重力波は歌うを取り上げました。 次回は#5で発表されたゲノム編集とは何かを取り上げます。

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