#6【資源の呪い】~ 喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

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課題図書

今回は2016年10月22日に開催されたSendee Book Club #6で取り上げた図書から 喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日をご紹介致します。

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

本書はフィナンシャル・タイムズの調査報道特派員であるトム・バージェス氏が2006年からアフリカに滞在しを取材した際の知見をまとめた書籍です。

最後のフロンティアと呼ばれるアフリカ。一見限りない可能性があるように思われるこの地で彼が見たものは、終わりの見えない貧困の螺旋と、資源がかけた呪いでした。

早速要旨を見ていきましょう。

要旨

・アフリカでは天然資源の富を、一部の権力者が独占している。そのシステムの構築に、中国のクイーンズウェイグループを率いる徐京華氏が手を貸している。そのシステムは以下のようなものである。

  1. アフリカの天然資源国の支配階級と合弁会社(実態はペーパーカンパニー)を作る
  2. 合弁会社が中国の国有銀行から融資を受け、天然資源国のインフラ建設にその資金を充てる。
  3. 合弁会社は天然資源国が中国に売却する石油等で得た利益で、中国の国有銀行に借金の返済をする
  4. 結果、融資と返済を仲介するだけで合弁会社は利益を上げる。この利益がアフリカの支配階級とクイーンズウェイグループに還元される。

・資源産業は国内に富を還流させない。その理由は次による

  1. 天然資源の収入は、税金とは違い国民の同意を必要としない。それゆえ、統治者は国民との間に社会契約を結ぶ必要がない。結果、国民を無視した政治運営がなされる。
  2. 天然資源産業は雇用を産まない。それゆえ国民に雇用を提供できない。結果、国民にお金が回らない。

・植民地から独立した今でも、アフリカは何も変わっていない。天然資源の略奪システムの受領者が変わるだけで、大多数の国民には富が回らないでいる。アフリカを資源の呪いから解き放つ術は、未だ見いだせていないのが実情だ。

いかがでしょうか?未だアフリカは変わっておらず、資源は時として国を不幸にすることが強く印象付けられる内容でしたね。

補足

・オランダ病:資源が売れることでドルが流入する。それにより自国通貨が高くなり、輸出競争力が下がる。結果、製造業が衰退し、そこで働いていた人たちは失業するという現象。資源の呪いとほぼ同義。

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

資源産業は国内に雇用を産まない。これが国民の所得の底上げを阻害する。それを思うと資源が無かった日本は幸せだったと言える。

確かに持たざるものとして戦えられた日本は幸せだったのかもしれません。

他にはこんな意見も。

世界で戦うには清濁を併せのむ必要がある。綺麗事だけやってはいられないことを肝に銘じる必要がある。

確かに限りある資源を求めて争う以上、綺麗事だけでは行きていけない場面は出てくるでしょう。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんは本書を呼んでどんな感想を持たれたでしょうか?

まとめ

今回はアフリカに地で暗躍する中国の姿について取り上げました。 次回はSBC#7で発表されたサピエンス全史をご紹介します。

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