SBC#9 【戦争が世界の物流を一変させた?】~ コンテナ物語

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課題図書

今回は2016年11月12日に開催されたSendee Book Club #9の図書の中から コンテナ物語をご紹介致します。

あるモノの出現が世界の物流を大きく変えた。そのモノの名前は「コンテナ」。20世紀最大のイノベーションと言っても過言でもないこの箱はどのように生まれ、どのように世界を変えていったのか。

その足跡を辿ってみましょう。

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要旨

  • アメリカの陸送業者であったマルコム・マクリーンは、コスト削減のためにトラックの「箱」だけを分離して船に載せるアイデアを思いついた。これがコンテナ誕生の瞬間であった。

  • コンテナの出現が国際貿易のコストを従来の1/50にした。輸送費が主要なコストではなくなった結果、製造業ではどこで作るかを考える際に輸送コストを考える必要がなくなった。結果現地の労働力単価などが主要な指標となり今の国際分業体制が確立された。

  • しかしながらコンテナの導入は当初は既得権益の抵抗により進まなかった。これを打破するきっかけとなったのはベトナム戦争であった。戦場の兵士に安全に物資を届けるにはコンテナの利用が不可欠であったため軍がその導入を後押ししたのだ。それが契機となり、コンテナの利用は民間にも広がった。

  • コンテナの導入は港の覇権も大きく変化させた。コンテナ導入前に世界有数の港だったニューヨークやサンフランシスコは、コンテナへの対応に遅れ、コンテナ後の世界にあっては存在感を失った。一方コンテナへの対応を行ったシンガポール、上海、釜山などの諸都市は、世界有数の港にのし上がった。技術の変遷に目をつけ半歩先の対応をとることが栄枯盛衰の世を生き残る手段だと言うことをコンテナは語っているのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

コンテナ輸送の確立、普及はマルコム・マクリーンという経営者の頑張りに拠る。彼が手段を選ばず実現を目指したことがコンテナ輸送の実現につながった。技術は、たとえそれが革新的であったとしても、その魅力だけで世界に普及するわけではない。それを普及させようとうする個人の不断の努力によってこそなされるのだ。

イノベーションというものは革新的なアイデアだけで為せると誤解されがちですが、その実現の裏には政治力・忍耐といった極めて泥臭く人間くさいものが求められます。コンテナの物語もそれを裏付けているようです。

壊れやすく盗難に会いやすい電子製品にとってコンテナ輸送は最適であり、コンテナの普及が日本の電子製品の輸出を後押しし、その結果北米、欧州市場を制覇するに至ったという論説は目からウロコであった。経済における勝敗はこのような多種の要因により導かれる。

経済に関わらず勝負の成否は得てして思いがけない要因に左右されるものです。言ってみれば運に委ねられていると言ってもいいでしょう。

抽象化、規格化はコスト削減の有用手段でありビジネスの大きなチャンスである。これらが生じてる分野が他にないか探してみたい。そこにビジネスの種は眠っているはずだ。

抽象化、規格化が起きる世界ではオーダーが一桁以上変わりえます。事業家の方ははこの視点から市場を探すと効果的かもしれません。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回はコンテナの歴史について綴ったコンテナ物語を取り上げました。 次回はSBC#10で発表された権力の終焉をご紹介します。

Sendee Book Club #9:その他の発表図書、関連図書

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