SBC#11 【野獣と赤ん坊】~ ピクサー流 創造するちから

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課題図書

今回は2016年11月26日に開催されたSendee Book Club #11の図書の中から ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法をご紹介致します。

ドワンゴ会長の川上量生氏の著書コンテンツの秘密にて、映画監督である宮崎吾朗氏は次のようなことを語っています。「ジブリは1人の天才が創造的な作品を作っているが、ピクサーはそれを組織で作っている」。

ここで言う天才とは言わずもな宮﨑駿監督のことですが、ピクサーは天才に頼らずとも組織の力で素晴らしいコンテンツを生み出し続けているというのです。

ではピクサーはどうやって継続的に創造的な作品を生み出しているのでしょうか?

要旨

  • ピクサーが継続的にヒット作を生み出せる理由はその企業文化にある。それを一言で表すと率直さとなる。ここで言う率直さとは、立場、相手の心情にとらわれず、感じたことをそのまま伝えるということである。この率直さが徹底されているからこそ、ピクサーは素晴らしい作品を継続的に生み出すことが可能なのである。

  • ピクサーでは率直さを体現し作品の品質を上げるためにブレイントラストというイベントを定期的に開いている。これは製作中の作品についてスタッフが忌憚の無い意見を交換する場である。ここで作品の中で伝えたい価値、キャラクターの真理、背景を深掘りすることで、ピクサーの作品は醜いアヒルの子から美しい白鳥へと成長するのである。

  • ピクサーは企業は継続して利益を出すことも大事だが、独創的な作品を作ることも必要だと考えている。著者はこれを野獣と赤ん坊の両立と表現する。企業は成長するに従い利益という野獣に囚われ、独創的な作品、すなわち成功するか分からないが可能性を感じさせる赤ん坊を手放していく。しかしそれではユーザーは時間が経つに連れて離れてしまい企業の持続性は望めない。ピクサーはそのような事態を防ぐため、失敗を奨励しそこから積極的に学ぶ文化を醸成しているのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

ピクサーからは組織構築について多くのことを学べる。ピクサーでは社員全員が率直に意見を述べ、それでいて風通しの良い環境を保つために、数多くの施策を実践している。例えば会議のときには、席次をつくらないために円卓を用い、ネームプレートは置かない。このような無意識に訴える施策によって、ピクサーは文化を養っている。私も自分の組織で、人々の無意識に働きかける方法を用い、文化を養っていこう。

サッカー日本代表監督の岡田武史氏も、選手の無意識に訴える指示を意図的に行っていると述べていました。文化の醸成、部下の育成にはこの無意識の扱い方が鍵を握るのかもしれません。 その他にも本書の中にはこれらの他にもピクサーが文化を養うために行っている施策が書かれています。詳しく知りたい方は本書を手にとってみてください。

ピクサーの驚くべき部分は質の優れた作品を生み出す文化を作ったことではなく、それを今でも維持していることだ。素晴らしいものを作ることはもちろん難しいが、それを維持することは更に難しい。組織とは腐りやすく、それを戻すことは作るより難しいからだ。これについては唐の太宗が記した貞観政要にも、創業に勝る守成の難しさとして書かれているので参考にされたし。

手に入れるより、維持する方が難しい。プロゲーマーの梅原大吾さんも「勝つことは簡単だが、勝ち続けることが難しい」と仰っていますが、根本は同じことを言っているのでしょう。ちなみにここで言及されている貞観政要帝王学として長らく読まれてきた書籍です。かの徳川家康北条政子も読んだと伝えられています。興味のある方はこちらも是非。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回はピクサーが継続して素晴らしい作品を生み出す方法について綴ったピクサー流 創造するちからを取り上げました。 次回はSBC#12で発表された世界の技術を支配する ベル研究所の興亡をご紹介します。

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