SBC#12 【シリコンバレーはある独占企業が生み出した?】~ 世界の技術を支配する ベル研究所の興亡
課題図書
今回は2016年12月03日に開催されたSendee Book Club #12の図書の中から 世界の技術を支配する ベル研究所の興亡をご紹介致します。
シリコンバレーの伝説的な起業家であり、かつ著名な投資家でもあるピーター・ティール氏は著書ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるかにて次のような言葉を残しています。
「競争ではなく独占しろ」
この言葉はシリコンバレー、そして全世界の企業に向けたアドバイスであり聞いたことがある人も多いでしょう。
しかしながらこのシリコンバレー誕生の背景にある独占企業の存在があったことはあまり知られていません。
その企業の名前はAT&T。
このAT&Tはかつてベル研究所という研究所(注1)を有していました。この研究所はかつて人類の生活に無くてはならない基礎技術を多数生み出しただけでなく、あのシリコンバレー誕生の礎も築いたのです。
そこで今回は人類史上最も革新的だった研究所ベル研究所の歴史を覗いてみましょう。
要旨
ベル研究所は現代生活に必須である基礎技術、トランジスタ、情報理論などを生み出した。この実績は公的機関ではない研究所としては稀有のものである。その類まれな業績はノーベル賞受賞者が7組13人に上ることからも見て取れる。
ベル研究所がこのように研究分野、特に基礎研究で成果を残せたのはその運営体制による。ベル研究所は米国の独占企業であるAT&Tの企業内研究所として存在した。当時AT&Tは通信業界にて独占を築いていたため潤沢な資金を有していた。ベル研究所はその資金を用いることができたため、研究費、利益を出すことへの圧力、そのどちらにも悩む必要無く基礎研究に臨むことが出来たのである。
ベル研究所の偉大な歴史を形作ったのは、ショックレー、シャノン数多の天才たちである。ベル研究所が優れていた点は、そのような天才たちを働かせられる組織作りをしていたからに他ならない。
ベル研究所はかの有名なシリコンバレーの産みの親と言っても良い。ベル研究所でトランジスタを生み出したショックレーは、当所を退職後8人の研究員(俗に言う8人の反逆者)を連れてサンフランシスコのマウンテンビューに研究所を開設した。本研究所はショックレーの人格欠如により間もなく解散となるが、退所したロバート・ノイスとゴードン・ムーアはこの地でインテルを創業する。これが契機となりこの地は後にシリコンバレーと呼ばれるIT企業の一大集積地となる。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。
人格無き才覚とどう共存すべきなのか。本書に出てくるショックレーはトランジスタを生み出した言わば天才であるが、人格という点では著しく欠陥があった。そのような存在に対し我々凡人はどう対峙すれば良いのか。その方法として本書に出てくるベル研のトップ、マービン・ケリーの行動は参考になると言えよう。
能力はあるが人格に乏しい、そのような人とは多かれ少なかれ私達も仕事をしていれば出会うことがあるでしょう。その際には是非ともマービン・ケリーの対応を参考にしたいものです。
ベル研究所の建物の設計は人々が必然的に会って話すようになっていた。例えば研究室と事務用のオフィスは長い廊下で隔てられていたように。このような設計は前回紹介したピクサーにおいても行われていたものである。革新的な組織には人の交流が必須であり、かつそれは組織が率先して促さなければならないことを示す良い事例である。今後自社の組織作りでも真似していきたい。
前回のピクサーと同様に、革新的な組織の組織作りには学ぶところが多いですね。
参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?
まとめ
今回は世界の技術を支配する ベル研究所の興亡を取り上げました。 次回はSBC#13で発表されたバブル 日本迷走の原点をご紹介します。
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