SBC#13 【バブルは断層のズレだった?】~ バブル 日本迷走の原点
課題図書
今回は2016年12月10日に開催されたSendee Book Club #13の図書の中から バブル 日本迷走の原点をご紹介致します。
- 作者: 永野健二
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/11/18
- メディア: 単行本
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かつて日本では戦争を知らない子供たちという言葉が流行ったそうですが、現代の30代までの若手と呼ばれる世代は言わばバブルを知らない子どもたちとなるのかもしれません。
本書はそんなバブルを知らない子どもたちに向けて書かれた本です。
1980年代末のかの熱狂はなぜ起こったのか?著者はその構造を戦後日本に脈々と息づいていた渋沢資本主義と世界情勢を用いて解き明かします。
要旨
バブルとは一言で言えば断層のズレで起こった地震のようなものである。戦後の混乱期、日本の行動経済成長を牽引したのは興銀、大蔵省、新日鉄、この3社が形作る「渋沢資本主義」であった。しかし1970年代、ニクソンショック、オイルショックによって世界経済の仕組みは大きく変わった。必然的に日本の経済も構造改革を求められたが、日本のエスタブリッシュメント層は体制の移行に抵抗した。結果、前述の渋沢資本主義らは余った力を土地と株のバブルに振り向けた。日本経済は未だそのときの余震に悩まされているのである。
80年代のバブルは多くのバブル紳士を生み出した。リクルートの江副浩正、光進の小谷光浩などである。彼らはバブルを立身出生の機会と捉え、既存の経済体制に風穴を空けるよう駆け回った。しかしバブルの宿命か、その中の誰一人して静かな晩年を送ったものはいない。
バブル崩壊後の失われた20年のデフレ時代。その期間を抜けて日本は今株高、土地高の局面を迎えている。これは実体経済を反映したものか、それともあの時と同じバブルなのか。事態が判明するのは数年後になるのだろが、一つだけ言えるのは、今の世間の空気、金融機関、ベンチャー経営者の言説が、当時交わされた言葉と驚くほど似通っているということである。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。
本書を読むと戦後の日本においては、エスタブリッシュメントに喧嘩を打った新興勢力は常につぶされているのがわかる。この国で上手く生きる唯一の方法は長いものには巻かれるということなのかもしれない。
正面から挑むだけが戦いではない。この国で成り上がるにはしたたかさも必要なのかも知れません。
今がバブルなら私のような立場の人間にとっては千載一遇の好機と言える。バブルとは体制の変化、動乱を示す現象だと考えれるからだ。
名も無い個人が名を上げるには環境が後押ししてくれることも必要です。戦国時代、幕末に英雄が多く生まれたのも動乱という背景があったからです。 その意味では、今は名も無き個人にとってチャンスなのかもしれません。
参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?
まとめ
今回はバブル 日本迷走の原点を取り上げました。
次回はSBC#14で発表された「科学者の楽園」をつくった男:大河内正敏と理化学研究所をご紹介します。
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- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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