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SBC#20 【現代人の深刻な暴力離れ?】~ 暴力の人類史

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課題図書

今回は2017年2月4日に開催されたSendee Book Club #20の図書の中から 暴力の人類史をご紹介致します。

暴力の人類史 上

暴力の人類史 上

暴力の人類史 下

暴力の人類史 下

「人類史において暴力は減っているのか」

昨今のISの台頭、中東諸国の混乱、ナショナリズムの拡大を見ると、この質問にYesと答えるのは、いささか楽観的と取られかねません。

しかし本書の著者であるハーバード大学教授のスティーブン・ピンカー博士は、この質問にはっきりYesと答えます。

これが本当なら、なぜ暴力は減ってきているのでしょうか?そして、そもそもなぜ暴力は起こるのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 昨今のテロ、中東・アフリカで起こる内戦の話を聞くと、現代は歴史上でも極めて暴力に満ちた社会であると錯覚してしまう。しかしながら、人類史において暴力は減少し続けており、現代は最も暴力から開放された時代なのだ。

  • 暴力が衰退した過程は6つの傾向、平和化のプロセス、文明化のプロセス、人道主義革命、長い平和、新しい平和、権利革命に分けられる。

    1. 平和化のプロセス:紀元前5,000年から数千年単位で起きた変化。狩猟・採集を基盤とする統治機構の無い社会から、農耕を基盤とする統治機構のある社会へと変化した。これによって日常的な襲撃や争いが減少し、暴力的な死を遂げる人の数が1/5に減少した。

    2. 文明化のプロセス:中世後半から500年程度かけて起きた変化。寄せ集めとして存在した封建領土が大きな国に統合され、中央集権的な統治と商業的な基盤が出来上がった。これはヨーロッパで顕著に見られた変化であり、殺人発生率は1/10~1/50に減少した。

    3. 人道主義革命:17世紀から数百年かけて起きた変化。奴隷制、拷問、残虐な刑罰など、それまで社会的に認められていた暴力形態を廃止するための組織的運動が起こり平和主義の動きが見らるようになった。

    4. 長い平和:第二次世界大戦後に起きた変化。超大国・先進国の大部分が互いに戦争することをやめた。

    5. 新しい平和:冷戦後に起きた変化。あらゆる酒類の組織的な紛争、内戦、テロ行為は世界中で減っていった。

    6. 権利革命:1948年の世界人権宣言後に起きた変化。女性、子供、同性愛などの社会的弱者の権利を保護しようと動きが広まっている。

  • 人間が行う暴力は次の5つの種類に分けられる。

    1. 道具的暴力:目的のための手段として用いられる暴力

    2. ドミナンス:権力や名声を求める衝動により起こる暴力

    3. リベンジ:仕返しや正義のための道徳的衝動により起こる暴力

    4. サディズム:他人の苦しみから快楽を得ること

    5. イデオロギー:思想の追求のために使われる暴力

  • 一方で人間には暴力を抑える4つの動機がある。

    1. 共感:他人の痛みを感じ取り自他の利害を一致させようとする動き

    2. セルフコントロール:衝動に基づいて行動した結果を予測しその行動を抑えようとする動き

    3. 道徳感覚:ある文化における規範

    4. 理性の機能:偏狭な視点から抜け出しより良い状態になろうする動き

  • 暴力が時間が経つに連れて減ってきているという事実は、数多くの先人の犠牲の上に成り立っている。その犠牲によって、私たちは今の平和だけでなく文化的な生活を享受できている。私達が今すべきは、美化された過去に思いを馳せることではなく、未来を今よりもっと暴力の無い世界にする方法を考えることなのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

本書は論の展開方法が素晴らしい。常に文献とデータを示し、反証可能な形で仮説を提示している。今後の持論の展開の参考にしたい。ちなみに以前取り上げた生命、エネルギー、進化も同様の方法を用いている。

SBC#16で取り上げた生命、エネルギー、進化と同じように、本書でも反証可能性を準備すべく、数多モノ参考文献を用意しています。このような姿勢は意見を呈するものとして、参考にしたいものです。

私達は常に定性的ではなく定量的に見てを把握すべきだ。本書の命題の一つに暴力に対する認識と実態の乖離があるが、この要因の一つはメディアだろう。 メディアは珍しいこと(定量的に少ない)を印象深く(定性的に大きく)報道する傾向にある。しかしその印象深さゆえ、私達はそれが定量的に多いと誤解してしまう。 メディアも営利主体ゆえ、今後この傾向が変わることは考えにくい。そのため、認識と実態の乖離を防ぐためには、私達自身が常に定量的に自体を把握することが求められるだろう。

所謂メディアリテラシーが求められるという意見です。その情報が常に定量的にどう判断されるのかを考えたいものです。

昨今の過剰なゼロリスク信仰、コンプライアンスも非暴力化の一端だと考えられないだろうか。例えば、公園から撤去される遊具、テレビから排除される暴力的なシーンなどは、少し前の時代を知る私たちは、過去と比較し”過剰”だと思ってしまうが、これも非暴力化のプロセスの一つかもしれない。だとすれば私達はこの動きを推進する必要があるだろう。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回は人類史において暴力が減少していることを論じた暴力の人類史を取り上げました。

次回はSBC#21で発表された一流の狂気をご紹介します。

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