SBC#32 [人工知能は量子によって更に輝く?] - 量子コンピュータが人工知能を加速する
課題図書
今回は2017年4月22日に開催されたSendee Book Club #32の図書の中から量子コンピュータが人工知能を加速するをご紹介致します。
- 作者: 西森秀稔,大関真之
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/12/09
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る
D-Wave
この量子コンピュータ製造企業の出現は、世界を驚愕させました。
実現はまだ難しいと思われていた量子コンピュータを商用化しただけでなく、なんと従来のコンピュータに対し1億倍の性能を出すことに成功したと言うのです。
また、それは人工知能の性能も大きく加速させると。
なぜこのような革新が起きたのでしょうか?
そしてそれは、どうやって人工知能の性能を上げるのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
量子コンピュータとは、量子ビットを用いて計算する装置である。量子ビットとは、0と1が重ね合った状態で保てるビットのことである。従来のコンピュータがビット数に応じて、計算量がリニアに増えるのに対し、量子コンピュータは、量子ビット数に応じて、計算量が指数関数的に増える。そのため量子コンピュータは、従来のコンピュータを遥かに凌ぐ性能を発揮できる。
量子コンピュータの実装方法は2つある。1つが量子ゲート方式、もう1つが量子アニーリング方式だ。これまでは主に量子ゲート方式で開発が進められていた。しかしこれは、コヒーレンス時間が長時間続かないため、実用化には程遠かった。
この状況に風穴を開けたのが、量子アニーリング方式を用いたコンピュータの出現だ。カナダのD-Wave社は量子アニーリング方式を用いた量子コンピュータを開発した。このコンピュータは組合せ最適化に特化しており、従来のコンピュータより1億倍高速に解けると言われている
組合せ最適化とは、用意された要素を最適な順序に並べる問題だ。例えば、セールスマンが、複数の配達地をどう回るのが一番効率的かを考える、巡回セールスマン問題がそれにあたる。
この組合せ最適化は、機械学習の1つであるクラスタリングでも利用されている。量子コンピュータはこの性能向上にも大きく貢献できる。また、ディープラーニングで必要となるサンプリングの性能向上にも、量子コンピュータは有効的である。
補足
- コヒーレンス時間とは、0と1が重ね合わさった状態を保てる時間である。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
量子力学で生命の謎を解くでは、「生命とはマクロな世界で量子力学的な振る舞いを行うモノ」という定義がされていた。となると、量子コンピュータを生み出すことは、生命を生み出すことに繋がるのかもしれない。そう思うと、ワクワクが止まらない。
確かに量子アニーリングコンピュータは魅力的だ。しかし私はやはり、量子ゲート方式のコンピュータに強く引かれる。これの実現は、本当に世界を一変させるほどの力を秘めているからだ。この実現に何かしらの形で関わってみたい。
まとめ
今回は、量子コンピュータの人工知能への影響を説いた量子コンピュータが人工知能を加速するを取り上げました。
次回はSBC#33で発表された世界システム論講義をご紹介します。
Sendee Book Club #32:その他の発表図書、関連図書
- 作者: 竹内繁樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/02/18
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 64回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
- 作者: ジム・アル-カリーリ,Jim Al-Khalili,ジョンジョー・マクファデン,Johnjoe McFadden,水谷淳
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/09/16
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
Sendee Book Club参加者募集
Sendee Book Clubは皆様のご参加をお待ちしております。
- 自分では気付けなかった良本に出会いたい方
- 読書のアウトプットの場がほしい方
- 他者の要約を通して効率的に書籍の情報をインプットしたい方
上記に該当する方は是非とも一度足を運んでみてください。
参加申込みはコンパスから。
Sendee採用情報
株式会社Sendeeでは、知的好奇心が旺盛な人を探しています。 弊社に興味がある方は以下のページからご応募ください。