ZBC#42 [シーパワーと国家] - マハン海上権力史論
課題図書
今回は2017年6月3日に開催されたZenport Book Club #42の図書の中からマハン海上権力史論をご紹介致します。
- 作者: アルフレッド・T・マハン,北村謙一
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2008/06/16
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 15回
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シーパワー
19世紀末期、アメリカ海軍の父「マハン」が提唱したこの概念は、世界各国に大きな影響を与えました。
日露戦争の英雄である秋山真之もマハンに師事し、この考えを日本海軍の戦略に大いに活かしたと言われています。
このシーパワーは、マッキンダーが唱えたランドパワーと対をなし、今でも地政学の核を為す教えてとして広く学ばれています。
ではこのシーパワーとは具体的にどういう概念なのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
シーパワーとは武力、経済力によって海洋を支配する能力である。18世紀以降、多大なるシーパワーを持つ海洋国家は大きく繁栄した。イギリス、オランダ、フランス、スペインなどがその例である。
シーパワーの具体的な因子として、a)海軍、b)商船隊、c)根拠地が挙げられる。これらは、1)生産、2)海運、3)植民地という、海洋国を形作る3つの循環する要素を支える役割を持つ。※根拠地とは、戦略的要地、軍事的な優越地点を指す。
シーパワーに影響を及ぼす一般条件として、1)地理的位置、2)自然的形態、3)領土の範囲、4)人口、5)国民性、6)政府の性格の6点が挙げられる。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
シーパワー理論は現在のサプライチェーン構築にも大きく活用できるだろう。海軍、商船隊はそのままとして、根拠地はロジスティクスにおけるFCと言ったところだろうか。
まだインターネットが無かった時代に、ハンニバルの時勢にまで遡り、戦略論を紐解いたマハンの調査力、洞察力には尊敬の念を禁じ得ない。
冷戦時のソ連海軍、現代の中国海軍は、このマハンの教えに忠実に従っているなと感じる。特に中国海軍は「米中もし戦わば」にて、孫氏の教えも積極的に取り入れる姿が描かれていた。行動の是非はともかく、その先人の教えを忠実に実行する能力は流石である。
まとめ
今回は、国家が戦争を始めるきっかけについて説いたマハン海上権力史論を取り上げました。
次回はZBC#43で発表されたイラク建国をご紹介します。
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