ZBC#44 [夢無きアメリカ] - ヒルビリーエレジー

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課題図書

今回は2017年6月17日に開催されたZenport Book Club #44の図書の中からヒルビリーエレジーをご紹介致します。

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

貧困

現在アメリカをこの二文字が覆っています。

これは一般的に、黒人やヒスパニックの問題と考えられていますが、実は多くの忘れ去られた白人の問題でもあります。

彼らは未来に希望を持てないまま、貧困の中で喘いでいます。

その姿はアメリカンドリームという言葉とは似ても似つかないものです。

彼らはなぜ、希望無き世界に佇むのでしょうか?

また彼らをそこから救い出す方法は無いのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 本書の著者であるJ.D.ヴァンスは、ラストベルト(錆びついた工業地帯)の一角であるオハイオ州の出身である。この地域には、多くの貧困に喘ぐ白人、通称ヒルビリー(田舎者)が住んでいる。彼らの生活には、精神的/物質的なセーフティネットが著しく欠けており、その事実が彼らから未来への希望を奪っている。

  • この本が描き出す白人の姿は、2016年の選挙でトランプ現大統領を支持した人物像と重なる。ニューヨークやシリコンバレーからは見えない、貧しい白人達の声なき声が、アメリカの国民国家への揺り戻しを起こしたのだ。しかしこの選択が彼らのような貧しい白人を救うかは分からない。

  • 貧困に喘ぐ白人の生活環境を変えるには、行政で出来ることには限界がある。この点については彼らの自助努力に頼るしかない。しかしそれを促すことは出来る。一つは彼らの親類が心理的/物質的なサポートを行うことによって。もう一つは彼らに目指すべきロールモデルを与えることによって。目指すべき目標と、そのために頑張れる環境があれば、人は上を向いて行きていけるのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

貧困はルサンチマンを産み、国家主義民族主義を産みだす。その行き着く先はファシズムであり、テロリズムだ。この帰結は負の遺産しか産まないことは歴史が証明している。今我々は共に貧困に立ち向かい、断絶しかけている世界を繋ぎ止めねばならないだろう。


個の自立を促すには、周りの支えと目指すべきロールモデルが必要だという示唆は凄く腹落ちする。私自身も結局のところ、周りの支えと、多くのロールモデルの方々のおかげで、これまで道を踏み外さずやってこれている。今度は私が誰かを支え、誰かのロールモデルにならねばと強く思う。

まとめ

今回は、繁栄から取り残された白人について説いたヒルビリーエレジーを取り上げました。

次回はZBC#45で発表された火の賜物をご紹介します。

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