ZBC#45 [180万年前の火遊び] - 火の賜物
課題図書
今回は2017年6月21日に開催されたZenport Book Club #45の図書の中から火の賜物をご紹介致します。
- 作者: リチャード・ランガム,依田卓巳
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2010/03/26
- メディア: 単行本
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火
180万年前に始めて火を利用したヒトは、その恩恵により大いなる進化を遂げていくことになります。
身体の変化、社会性の獲得。
火の習得によって、ヒトは知恵ある者になっていったのです。
しかしなぜ、火が進化を促せたのか?
その鍵を握るのが料理。
料理?
要旨を見ていきましょう。
要旨
火の利用はヒト属の進化のきっかけとなった。180万年前に起きたホモ・ハビリスからホモ・エレクトスへの進化は、火の利用が契機だと考えられている。
火の利用、それに付随する料理は、食物に2つの変化を引き起こした。一つは食物から摂取できるエネルギーの増加、もう一つは消化に必要とするエネルギーの減少である。これはヒトの身体に2つの影響を与えた。一つは歯、顎、腸などの消化に必要な部位の小型化、もう一つは余剰エネルギーを脳に回せたことによる脳の肥大化である。
火を用いた料理は、ヒトの社会性にも影響を与えた。食物の準備が、採集と料理という2つの工程を踏まえることになった結果、男性は採集、女性は料理という男女間での分業制を生んだのだ。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
火の利用とは即ち、処理のアウトソースである。人体でやらなくて良い処理を外部に託す。企業が業務を他社にアウトソースするのと本質は同じだ。これは、個や集団が進化するためには、如何に外部のリソースを効率よく利用できるかが鍵となることを示している
火が男女間の分業制を生んだという仮説は大変興味深い。これは即ち、新しい技術の出現が、集団内における分業制を生むということだ。コンテナやITの出現が地域間での分業制を生んだのと構造は似ている。
まとめ
今回は、火がヒトの進化に及ぼした影響について説いた火の賜物を取り上げました。
次回はZBC#46で発表されたルワンダ中央銀行総裁日記をご紹介します。
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