ZBC#50 [卓越した大局観] - 戦略家ニクソン
課題図書
今回は2017年7月12日に開催されたZenport Book Club #50の図書の中から戦略家ニクソンをご紹介致します。
- 作者: 田久保忠衛
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/07
- メディア: 新書
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第37代米国大統領リチャード・ニクソン。
彼に対する後世の評価は、ウォーター・ゲート事件によって、決して高いとは言えません。
しかしながら彼は在任中に、世界史に名を刻む数々の外交成果を残しました。
彼が残した成果とは何なのでしょうか?
また、彼の外交姿勢の基盤となったものは何のでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
第37代米国大統領のリチャード・ニクソンは、外交において多大なる功績を残した。米ソのデタント推進、ベトナム戦争の終結は、彼の数ある功績のうちの1つだ。しかしながら、彼の最大の功績は、米中国交正常化の道を開いたことである。
ニクソンは米国経済の発展、ソ連牽制の意味合いから、米中間での国交樹立が必須だと考えていた。しかしながら、歴史的背景により、米国は表立っては中国に接近出来ない状況であった。そんな状況の中、彼は極秘チームを組織し周到な準備を行い、パキスタン経由で中国との交渉を取り付けることに成功した。
ニクソンの外交は大局観に優れていた。彼は常に外交を二国間では捉えず、国際社会を盤面として捉えていた。彼のこの外交姿勢は、英国元首相のディズレイリ、ドイツ元首相のアデナウアー、そして彼に大統領補佐官として仕えたキッシンジャーに影響を受けたものだった。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
ニクソンの対中接近時の情報管理は徹底していた。その内実を知っていたの政府内でも彼とキッシンジャーだけ。同盟国であった日本にも事前通知は一切行われなかった。敵を欺くには先ずは味方から。沈黙の大切さを思い知らされる。
ニクソンの外交、それはリデルハートの間接的アプローチの原則に沿っている。事前の周到な準備、決して正面からは向かわず空白地帯から攻める姿勢。然るべき理論を忠実に実効するその能力は、賞賛せざるを得ない。
まとめ
今回は、過小評価された英雄を説いた戦略家ニクソンを取り上げました。
次回はZBC#51で発表されたベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるをご紹介します。
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