ZBC#51 [アメリカの起源] - ベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になる
課題図書
今回は2017年7月15日に開催されたZenport Book Club #51の図書の中からベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるをご紹介致します。
- 作者: ゴードン S.ウッド,池田年穂
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2010/09/04
- メディア: 単行本
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アメリカ建国の父としてだけではなく、資本主義の父としても知られる彼は、これまで、実利的なアメリカ人の典型として捉えられていました。
しかし、本書の著者であるゴードン・S・ウッド教授は、彼は英国の形式的な階級制文化に憧れた人物であったと説きます。
そして、その憧れに裏切られたため、彼はアメリカ人になることを選んだのだと。
一体、彼がアメリカの象徴になるに至った背景とは、どのようなものだったのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
ベンジャミン・フランクリンはイギリス領北米植民地に生まれ、身分の低い印刷職人として人生をスタートさせた。本事業で身を立てた彼は、資産家として財を蓄えた後、イギリス内で紳士階級に登り詰めることに成功する。
フランクリンは人生の多くの時間を、ヨーロッパ、主にイギリス本土やフランスで過ごした。その期間、多くのヨーロッパの知識人と交流した。彼はその知性、人柄によって、ヨーロッパにおいて絶大な人気を得た。
彼は当所、イギリスの階級制に憧れを抱いていた。また王政派でもあった。しかし、アメリカ独立紛争時に英国議会と意見の対立を見たことにより、彼はアメリカ支持に転向した。後に、彼はアメリカ独立を強く後押しすることとなる。
彼は一般に、自由と機会の国アメリカの象徴として扱われることが多い。しかし彼の実像は、イギリス的な階級社会、君主制に憧れながら、それに拒絶され、アメリカ人となることを選んだ人間だった。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
先日、うめ先生という漫画家の方が、ストーリーは「AはBのためCをしたが、目標は達せず、かわりにDを手に入れる」という構成にすると読者の心をつかみやすい、と仰っていた。ベンジャミン・フランクリンの人生は、まさにこのストーリーに沿っていることがわかる。これが、彼が今でも広く支持される理由なのだろう。
建国のダイナミズム、そしてそれに携わるリーダーの生き様は、後世の人を惹きつけて止まない。アジアに限ってみても、大久保利通、鄧小平、リー・クアンユー等の歩みは、後世から振り返るだけでも興奮するものだ。また一方で思うことは、建国の際に、国益を最優先できるリーダーを抱けることは、国家として無上の幸いだということである。自分の私腹を肥やすリーダーがトップに上り詰め、国家が貧する事態は、歴史上に散見される。この「公を考えるリーダーの生み方」についての考察は、引き続き行っていきたい。
まとめ
今回は、アメリカ建国の父の素顔を著したベンジャミン・フランクリン、アメリカ人になるを取り上げました。
次回はZBC#52で発表された小村寿太郎をご紹介します。
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