ZBC#59 [世界は廻る] - グローバル経済の誕生
課題図書
今回は2017年9月2日に開催されたZenport Book Club #59の図書の中からグローバル経済の誕生をご紹介致します。
グローバル経済の誕生: 貿易が作り変えたこの世界 (単行本)
- 作者: ケネスポメランツ,スティーヴントピック,福田邦夫,吉田敦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2013/08/22
- メディア: 単行本
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グローバル経済
この言葉は現代特有のモノと思われがちですが、実は600年以上もの歴史を有する言葉です。
その歴史を精緻に紐解いた、本書の著者であるケネス・ポメランツ教授は、グローバル経済をある1つの言葉で表します。
それは暴力。
彼は、グローバル経済の進展においては、常に暴力を振るう者が富を手に入れてきたと断じます。
では、暴力はどのようにしてグローバル経済の中で影響力を誇ってきたのでしょうか?
その一端を覗いてみましょう。
要旨
経済のグローバル化とは、現代特有の非連続的変化ではない。それは1400年代以来、脈々と続く漸次的変化である。
グローバル経済において大きな役割を担ってきたもの、それは暴力である。西欧がグローバル経済において覇権を握れたのは、疫病を用いて新大陸の原住民を死に至らしめたからだ。また、アフリカ大陸出身の大量の奴隷を、新大陸において労働力として酷使したからでもある。グローバル経済においては、モラルの有無は関係なく、暴力を振るうものが果実を手にしてきた。
グローバル経済を進展させたのはドラッグ的商品であった。薬として用いられたチョコレート、老若男女を虜にする砂糖、またアヘンなどのドラッグそのものが、グローバル経済を大きく発展させた。
日本の開国の歴史も、世界史の文脈から見ると大変興味深く浮かび上がる。そのキッカケはアメリカでのゴールドラッシュだった。西海岸に金が出るという噂が、いまだ未開の場所であったこの地への資本の集積を実現させた。その資本力はそのまま、太平洋諸国への進出を促す。その動きはハワイ併合へとつながり、後の黒船来日、日米和親条約へと連なっていく。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
グローバル経済の歴史においては、暴力が富を手にする最良の手段だったという事実は残酷なものだ。ただこれは法の概念、人権の概念が不十分だったからだろう。現在においては、アングラな世界を除き、暴力が占める割合は些末なものになっていると考えられる。人類の残酷さと、少しばかりの希望を垣間見れる事象である。
情報、カネ、モノ。IT化によって、グローバル経済は最初の2つを場所の縛りから開放した。しかし未だにモノの移動のみは、場所の縛りを免れていない。私はここにグローバル経済の完成の糸口があるように思える。
まとめ
今回は、グローバル経済の誕生について説いたグローバル経済の誕生を取り上げました。
次回はZBC#60で発表された帳簿の世界史をご紹介します。
Zenport Book Club #59:その他の発表図書、関連図書
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- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2015/01/28
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文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
- メディア: 文庫
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- 発売日: 2002/04/25
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