ZBC#62 [6万年前のロマンス] - ネアンデルタール人は私たちと交配した
課題図書
今回は2017年9月13日に開催されたZenport Book Club #62の図書の中からネアンデルタール人は私たちと交配したをご紹介致します。
- 作者: スヴァンテペーボ,Svante P¨a¨abo,野中香方子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/06/27
- メディア: 単行本
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現生人類であるホモ・サピエンスの亜種であるこの種は、長らく謎に包まれていました。
しかし、2010年にサイエンス誌に掲載されたある発見が世界を揺るがします。
それは、アフリカ大陸以外に住む現生人類のゲノムに、ネアンデルタール人の遺伝子が数%混入しているというものでした。
これはすなわち、我々現生人類とネアンデルタール人は交配していたことを意味します。
では、数万年前、私たちと彼らはどうやって交わったのでしょうか。
そして、その発見の裏にあった、ある科学者の30年以上に及ぶ苦闘とはどんなものだったのでしょうか。
要旨を見ていきましょう。
要旨
2010年、スヴァンテ・ペーボ博士等は、現生人類のゲノムには、ネアンデルタールのDNAが2~3%入っていることをサイエンス誌に投稿した。これはすなわち、我々現生人類とネアンデルタール人が交配していたことを意味している。初めての邂逅はおよそ6万年前、場所は中東周辺だと考えられている。
本発見のためには、2つの問題を解決する必要があった。1つはDNAを必要量得ることである。既に死んだ生物のDNAは構造を維持しておらずDNAを回収しづらい。またそもそもネアンデルタール人の骨はあまりにも少なかった。この困難とも言える状況で、ペーボ博士は、DNA増幅技術「次世代シーケンサー」を発明し、同じ骨量から数百倍のDNAを回収することに成功する。
もう1つは現代のDNAの混入を防ぐことである。古代のDNAを分析するには、それと現代のDNAを分離する必要がある。しかしこれは相当に困難な作業であり、この困難な作業を怠らず、愚直に行ったことにより、人類史に残る業績は果たされたのだ。
ネアンデルタール人のDNA解析を完了した、ペーボ博士はその後新たな発見を行った。それはデニソワ人の発見である。彼によると、デニソワ人は現生人類よりネアンデルタール人に近い種であったらしい。まず現生人類と、デニソワ人とネアンデルタール人の祖先が分岐し、その後両者が分岐したと考えられている
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
生命・エネルギー・進化で描かれていた研究者像と重なる。つくづく、持てる技術を駆使し、人類とは何かという壮大な問いに、神という安易な逃げ道を作らず、愚直に向き合う研究者には尊敬の念を禁じ得ない。
本書を読んで感じたことは、なぜ種の分岐はなぜ起こるのか、というものだ。種の中での進化と、種自体の分岐は何が違うのか。その辺について、折をみて研究を行いたい。
まとめ
今回は、ネアンデルタール人と現生人類とのつながりについて説いたネアンデルタール人は私たちと交配したを取り上げました。
次回はZBC#63で発表された10万年の世界経済史をご紹介します。
Zenport Book Club #62:その他の発表図書、関連図書
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そして最後にヒトが残った―ネアンデルタール人と私たちの50万年史
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- 出版社/メーカー: 白揚社
- 発売日: 2013/11/09
- メディア: 単行本
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- 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/09/08
- メディア: 単行本
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- 作者: ニック・レーン,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: みすず書房
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