ZBC#69 [軍事と民間の交差点] - ペンタゴンの頭脳
課題図書
今回は2017年10月18日に開催されたZenport Book Club #69の図書の中からペンタゴンの頭脳をご紹介致します。
ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA (ヒストリカル・スタディーズ)
- 作者: アニー・ジェイコブセン,加藤万里子
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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著者
アニー・ジェイコブセン:調査報道ジャーナリスト。ロサンゼルス・タイムズ・マガジンの編集に携わるほか、多くの雑誌に寄稿。著書に「エリア51」などがある。
インターネット、GPS,ドローン。
これらの革新的な技術が、実は元々軍事技術として生まれ、後に民間に転用されたことを知っている方も少ないないでしょう。
しかしこれらが、どこで生まれたかを知る人は多くないかもしれません。
その名はDARPA。
ペンタゴンの研究機関として存在するこの組織の実態は、未だ謎に包まれています。
今回はそんなDARPAの実態と、彼らが現在注力している分野についてご紹介致します。
要旨
DARPA(その前進であるARPA)は米国国防総省の機関として1958年に生まれた。その組織形態は普通の研究機関とは異なる。DARPAには長官の下に150名程度のプロジェクトマネージャーが在籍し、彼らが企業や大学で独立して研究を行っている。DARPAの研究機関というものは存在しない。
DARPAが誕生したきっかけはスプートニク・ショックである。当時、ソ連の宇宙技術の発展、並びにその技術の軍事への転用に危機感を覚えた米国は、アイゼンハワー大統領のもと、最先端科学技術を米国軍に転用することを目的としてDARPAを設立した。
DARPAで生まれた軍事技術はその後民間に転用され、社会を大きく変容させてきた。インターネット(ARPANET)、GPS、ドローン、これら革新的な技術は全てDARPAが開発し、その後民間に広がったものである。
現在DARPAが力を入れている分野は、ロボット、並びに人間と機会を融合するニューロテクノロジーである。戦場で戦う戦争ロボットの開発は言わずもがな、人間の脳にチップを入れて操作する脳インプラント技術などの開発も進められている。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
本著を読み、私は緊張/弛緩と革新の関係性について考えが及んだ。DARPAでこれだけの革新的な技術が生まれたきたのは、米国が戦争という常に緊張を伴う環境に置かれていたことが大きい。その文脈で言うと、緊張が革新を促したと言える。一方で弛緩が革新的なものごとを生み出す事例も歴史上散見される。企業内のサイドプロジェクトとして生まれ、後に本流になったサービスなどがそれにあたる。革新的なモノゴトを生み出す場合、緊張/弛緩はどのように使い分ければ良いのか。ここは一概に答えは出せず、場合分けが必要となるだろう。機を見て掘り下げてみたい。
ニューロンテクノロジーは大変興味深い技術だ。しかし、そもそも脳、特に意識の仕組みというものは未だに解明されてないはずだ。その状況で、どうやって人間を制御しようとしているのか。どの部位にどれほどの電位をかければ、どのような行動を起こすというメカニズムが解明されているのだろうか。この辺については時間をみつけて研究してみたい。
まとめ
今回は、秘密に覆われた研究機関DARPAについて説いたペンタゴンの頭脳を取り上げました。
次回はZBC#70で発表されたヒトは病気とともに進化したをご紹介します。
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