ZBC#76 [This time is different] - 大暴落1929
課題図書
今回は2017年11月22日に開催されたZenport Book Club #76の図書の中から大暴落1929をご紹介致します。
- 作者: ジョン・K・ガルブレイス,村井章子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/09/25
- メディア: 単行本
- 購入: 13人 クリック: 53回
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1929年
この年、ウォール街は歴史に残る株価大暴落に見舞われました。そしてこの大暴落はそのまま、後の世界大恐慌の一因となりました。
1955年、制度派経済学者であったジョン・K・ガルブレイスは、この熱狂と悲鳴がどのような時代背景のもと発生したかを、幾多もの資料をもとに著しました。
その後、世界はバブルとその崩壊に直面するたびに、本著にその解を求めています。
現在、我が国の株価、並びに暗号通貨の価格は、長期の上昇局面にあります。
果たしてこれはバブルなのか、それとも違うのか。
その答えの一端を、本書の中に探してみましょう。
要旨
1929年の大暴落は、それに先立つ投機ブームの中で生まれた。この狂乱ブームが生じた理由定かでないが、強いて言うなら二つ挙げられる。1つは時代の空気である。普通の人でも金持ちになれるという楽天的な空気がブームを読んだ。もう1つはアメリカ国民の貯金が潤沢であったことである。この観点から言うと、長く続いた好況期の後は、投機ブームが起きやすいと言える。
1929年の大暴落はその後の大恐慌の引き金になった。大恐々の原因は1929年当時の経済の不健全性に依る。具体的に述べると次の5点が理由だと考えられる。1)所得分配の偏り、2)企業構造の歪み(規律の緩み)、3)経営基盤が脆弱な銀行群、4)大きな対外収支黒字、5)専門家の経済知識の欠如。
当時、政治指導者等は口々に「 状況は基本的に健全である」「ファンダメンタルズは問題ない」などの言葉を述べた。株式市場が熱狂している際にこれらの言葉が喧伝されたら、何かがうまくいってないと考えた方がいい。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
世間が熱狂する中、どこで引くかを決めることは難しい。これは何も株だけの話ではない。経営者にとっての事業選定にも当てはまるだろう。ここで、最適な進み時、退き時を見定めるには、自分の中での確固たる基準、そして世間から嘲笑を受けてもぶれない覚悟が必要なのだろう。とは言っても、これは言うは易し行うは難しだ。
大暴落の事実は、全体では片方に振りすぎては行けないことを示唆している。中庸が大事であるということだ。しかし一方、個人としては片方に振り切った方が得することが多い。経済学と同様、マクロとミクロでは人に求められる処世術は異なるということだろう。
まとめ
今回は、ウォール街大暴落の姿を描いた大暴落1929を取り上げました。
次回はZBC#77で発表されたブラック・フラッグスをご紹介します。
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