ZBC#78 [遺伝子型ネットワーク] - 進化の謎を数学で解く
課題図書
今回は2017年12月02日に開催されたZenport Book Club #78の図書の中から進化の謎を数学で解くをご紹介致します。
- 作者: アンドレアスワグナー,Andreas Wagner,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/03/27
- メディア: 単行本
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適応
ダーウィンがこの考えを生命に持ち込んだことで、人類の生命に対する見方は180度変わりました。
しかし、彼も気づかぬ内にある忘れ物をしていました。
それは、適応はどのようなプロセスで出現するのかという問いです。
この問いに対して本書の著者は、遺伝子型ネットワークと言う解を提示します。
それは一体どのようなものなのでしょうか。
要旨を見ていきましょう。
要旨
ダーウィンが種の起源において適応による自然淘汰の考えを示した。これは革新的な考えだったが、一方でその適応がどのように出現するかについては明らかにしていなかった。
生物は適応的な進化を必要とする場面で最適な変位を出現させるために、遺伝子ネットワークを用いている。
遺伝子ネットワークとは、代謝、たんぱく質、調整因子という3つの要素をつなぎ合わせたネットワークである。これらの変位のパターンを天文学的数字になる。これらが新機軸、即ちイノベーションを作り出す無限の可能性となる。この中から最適な変位を出現させることで、生物は適応している。
この適応を支えているのが生命の頑強さである。これは冗長性と言っても良い。少しの要素の変化では、出現する現象は変わらない。これによって生命は、いくつものパターンを試すことが可能になる。
生命のイノベーションは、限られた数の構成要素の限られた数のつなぎ方という単純さの中にある。全ての生物が同じDNAの遺伝暗号を持ち、エネルギー通貨としてATPを持つことは、生命のイノベーションが規格化された構成要素に負うところが大きい。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
本書は、自然界のイノベーションの肝は、1)要素が規格化されていること、2)それを自由に結び付けられることの2点だと示している。これは人間社会にも当てはまる。モジュールはシンプルにし、。しかし人間社会では規格合戦が起こる。参入障壁と成るからだ。これが結果的に全体の進化を妨げている。生命であるはずの人類が、個のエゴで、全体の進化を滞らせているのは残念であり、また面白くもある。
社会、脳、生命、これらの仕組みは全て似通っている。これらは全て、多数の個体からなるネットワークを構築し、そのネットワークから課題に応じた解決策を出現させている。これは生命が確立した効果的な対応方法だと認識して良いだろう。今後、我々人類がすべきことは、多くのノード(個)を結びつけ、そこから解決策が自発的に出現することを促すことだ。
まとめ
今回は、生命が最適な変位を出現させる方法について説いた進化の謎を数学で解くを取り上げました。
次回はZBC#79で発表された人はなぜ太りやすいのかをご紹介します。
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