SBC#39 [コレラの子] - 感染源

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課題図書

今回は2017年5月20日に開催されたSendee Book Club #39の図書の中から感染源をご紹介致します。

感染源 防御不能のパンデミックを追う

感染源 防御不能のパンデミックを追う

コレラ

この感染症は19世紀以降、世界各地を絶望の底に陥れました。

朝には元気だった人が、夜には身体から水分が失くなり死んでいる、文字通り悪夢のような現象が、世界各地で発生したのです。

しかし、この感染症の世界的流行、言わばパンデミックは、実は人間の手によって生まれ、世界に拡がったと言っても過言ではありません。

しかし一体どうやって?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • コレラは19世紀以降、世界で猛威を奮った。その原因は過密である。人々が都市に住むことによって、コレラは指数関数的に拡がることが可能になった。

  • 近年、多くの感染症が、パンデミックを起こした後、世界に急送に広まる原因となったのは。その原因は移動手段の発達だ。蒸気船、飛行機、これらの移動手段の発達によって、これがパンデミックの発生割合を著しく上昇させた。

  • 昨今、SARSなどの新しい感染症が誕生している。その理由は生物同士の邂逅だ。本来であれば出会う可能性が無かった生物同士(コウモリとハクビシン等)の出会い、それが感染症の進化を後押ししている。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

人間と細菌は互いに補完関係にある。本書ではその負の側面が取り上げられているが、人間は細菌のおかげで整体活動を維持できている。その観点からすると、人間と細菌も結局はパワーバランスが大切だと感じる。外交と同じだ。


コレラの拡大戦略、人間の体内に侵入し下痢となって排出され、それをきっかけとしてまた他の人間の体内に入る、 というものには、知性を感じざるを得ない。単純な構成をした生物にすぎない彼らが、なぜこのような戦略を生み出せるのか、時間があるときに研究したい。

まとめ

今回は、パンデミックが起こるメカニズムについて説いた感染源を取り上げました。

次回はSBC#40で発表された毛沢東の大飢饉をご紹介します。

Sendee Book Club #39:その他の発表図書、関連図書

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

人類五〇万年の闘い マラリア全史 (ヒストリカル・スタディーズ)

人類五〇万年の闘い マラリア全史 (ヒストリカル・スタディーズ)

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SBC#38 [歴史に翻弄された優しきスパイ] - ロレンスがいたアラビア

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課題図書

今回は2017年5月17日に開催されたSendee Book Club #38の図書の中からロレンスがいたアラビアをご紹介致します。

ロレンスがいたアラビア(上)

ロレンスがいたアラビア(上)

アラビアのロレンス

第一次世界大戦時、アラビアで暗躍したこの者の名は、同題の映画を通して広く知られています。

しかし、彼が実際どんな人物かを知っている人は、あまり多くないでしょう。

オックスフォード大学の考古学者であった彼は、なぜ英国軍の一員としてアラビアに趣き、アラブのために戦ったのでしょうか?

そして彼はなぜ、勝利という果実を手に入れたにも関わらず、悲痛の中で死んでいったのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 第一次世界大戦中、アラビアは、英国、ドイツ、ロシア、オスマン帝国、アラブ、ユダヤなどの思惑が入り乱れる混沌とした世界だった。その時代、一人の若者が、祖国とアラブ世界の対立の間で苦悩に揺れながらも、自身の正義のためにアラビアを駆け抜けた。その者の名はトーマス・エドワード・ロレンス、通称「アラビアのロレンス」である。

  • ロレンスは、英国の情報将校としてアラビアに派遣された。その地で、アラブ国家設立を志すフサイン家の三男ファイサルと共に、対オスマン帝国の闘いを進めていく。その過程で、彼はアラブ人の大義に心動かされ、アラブ国家の実現に邁進する。しかしその夢は、英国とアラブの勝利によって実現するかと思われたが、英国の背信と共に潰えた。

  • アラビアは第一次対戦後、大国間のエゴによって直線で仕切られた。その区切りは民族、宗教を考慮しない無機的なものであった。この負の遺産は今尚、沈静化を見せない中東混乱に、大きく影を落としている。

  • 当時のアラビアにはロレンスだけではなく、各陣営の思惑を肩に載せ、暗躍する若者達がいた。一人はスタンダードオイルの情報員であったアメリカ人のイエール、一人はドイツのスパイであったブリューファー、そしてもう一人はユダヤ国家設立を目論むシオニストのスパイだったアーロンソンである。彼らは、自身が信じる正義のために、混沌するアラビアを駆け抜けた。彼らの残した足跡は今も、今のこの世界のあり方に大きな影響を与えている。

補足

1915年に英国が、オスマン帝国の支配下にあったアラブ地域の独立と、アラブ人のパレスチナでの居住を認めた協定。 戦後、サイクス・ピコ協定バルフォア宣言と矛盾していると糾弾され、大きな波紋を読んだ。またこの矛盾が現代まで続く中東混乱の一因となっている。

1916年に英国、フランス、ロシアの間で結ばれたオスマン帝国の分割を約束した密約。

1917年に英国の外務大臣であるアーサー・バルフォアが、ユダヤ貴族院議員のライオネル・フォルター・ロスチャイルドに対して送った、シオニズム支持を表明する所感。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

国家とは何か、この書籍を読むとそう問わざるを得ない。現代世界の基本は国民国家だ。またその素となるのは言語である。人々は話す言語で国家を形成している。そうであれば、中東は1つか2つの国にまとまってもおかしくない。しかしこの地では、今尚混乱が続いている。これは即ち、国民国家の否定である。となると国家とは何なのか?何を持って構築すべきなのだろうか?


中東問題を見るにつけ、人類最古の文明が生まれたこの肥沃な三日月地帯が、なぜ現代ではこのような姿になってしまったのか、悲しまずにはいられない。改めて共同体を作るのは難しいと感じる。共同体が成功/失敗する理由については、再度考察してみたい。


物語の本筋とは関係ないが、本書はロレンスが英国国王からのナイトの称号を辞退シーンから始まる。この導入は秀逸と言わざるを得ない。今後読み物を書く際の、導入執筆のお手本にしたい。

まとめ

今回は、アラビア世界を駆け抜けた若いスパイについて説いたロレンスがいたアラビアを取り上げました。

次回はSBC#39で発表された感染源をご紹介します。

Sendee Book Club #38:その他の発表図書、関連図書

完全版 知恵の七柱〈1〉 (東洋文庫)

完全版 知恵の七柱〈1〉 (東洋文庫)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 (新潮選書)

定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)

定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4)

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

国家はなぜ衰退するのか(上):権力・繁栄・貧困の起源 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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SBC#37 [国防総省のヨーダ?] - 帝国の参謀

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課題図書

今回は2017年5月13日に開催されたSendee Book Club #37の図書の中から帝国の参謀をご紹介致します。

帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦 略

帝国の参謀 アンドリュー・マーシャルと米国の軍事戦 略

国防総省ヨーダ

国防総省で40年以上要職を勤めてきたアンドリュー・マーシャル氏は、敬意を込めて周囲からこう呼ばれています。

メディアへの露出を極端に嫌うため、彼の存在は日本だけでなく、アメリカでもそれほど知られていません。

しかしながら、彼の存在は戦後の国際政治に大きな影響を与えました。

実際、東西冷戦はマーシャル氏がいなければ、あのような帰結は得なかったと言われています。

その裏にあったのは、彼が生み出した革新的な戦力分析手法、ネットアセスメントでした。

そのネットアセスメントとは、一体どんなモノなのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • アンドリュー・マーシャルは、ニクソン政権以降の全ての国防長官に仕えた人物である。彼は、ソ連に対するアメリカの戦略策定能力を改善する方法として、ネットアセスメント(総合戦略評価)という分析手法を作り出した。

  • ネットアセスメントの目的は、彼我の軍事力を正確に計算し、評価することである。以前、軍事力は戦車の台数、ミサイルの基数を、ただ足すだけのビーン・カウンツという方法で評価されていた。しかしこれでは、当然ながら正確な軍事力は評価できなかった。部品の供給体制、背後の産業の、兵の士気など、目に見えない要素を考慮出来てなかったからだ。これらの要素を加味して、正確な軍事力を評価するために、ネットアセスメントは生み出された。

  • ネットアセスメントの大きな功績の一つが、ソ連の軍事支出の算出だ。CIAは70年代初期のソ連の軍事支出をGNPの6~7%と推定していた。しかしマーシャルは独自の評価で、実際の支出はその2倍以上あり、ソ連の軍事力の持続可能性は低いことを突き止めた。この評価は米軍の戦略に影響を与え、結果、冷戦の早期終結に繋がった。

  • マーシャルのもう1つの功績は、「軍事における革命」の議論を促したことだ。1980年代当時既に、WW2以来の遺産である戦車や空母だけでは、未来の戦争では不十分であること、情報通信技術の駆使が必須であることを示唆していた。この示唆は、米国が軍事戦略を変革する大きな契機となった。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

マーシャルの、無知の知に対する姿勢からは学ぶことが多い。彼は、自分は全てを知らぬことを素直に受入れ、その前提で自分が何を知らず、また何を知るべきかを判断していた。この無知の知は、ビジネスの意思決定でも大変重要なものだろう。自分が何を知らず、どこまで知った上で決断を下すという線引が出来ていないと、無闇に情報を追い求め、気づいたらチャンスを逸している可能性が高いからだ。


マーシャルの、人間の可能性についての言及も含蓄に飛んでいる。彼は「1人の人間が防げる愚行には限りがある」と人間の限界を示唆しながら、一方で、「手柄を気にしなければ、人間はいくらでも優れたことを成し遂げられる」という、人間の底知れぬ可能性をも示唆している。これは彼が、国防という人間性が剥き出しになる最前線で、40年間以上も戦ってきた経験からたどり着いた、人間の可能性の二面性なのだろう。ちなみに二つめの示唆は、西郷南洲が残した言葉と通じるものがある。

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」

まとめ

今回は、国防総省ヨーダことマーシャルについて説いた帝国の参謀を取り上げました。

次回はSBC#38で発表されたロレンスがいたアラビアをご紹介します。

Sendee Book Club #37:その他の発表図書、関連図書

歴史の研究 1

歴史の研究 1

決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 第2版 1 (日経BPクラシックス)

決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 第2版 1 (日経BPクラシックス)

キューバ危機 - ミラー・イメージングの罠

キューバ危機 - ミラー・イメージングの罠

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SBC#36 [微生物無くして人類無し?] - マイクロバイオームの世界

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課題図書

今回は2017年5月6日に開催されたSendee Book Club #36の図書の中からマイクロバイオームの世界をご紹介致します。

マイクロバイオームの世界――あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち

マイクロバイオームの世界――あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち

微生物

この言葉を聞くと、思わず拒否反応を示す人も多いかもしれません。

しかし実は、私達人間はこの微生物と既に何万年も、互いに支え合いながら生きているのです。

ですが、最近私達の関係には、大きな亀裂が生じています。そしてそれは、目に見える影響として私達の身体に出ています。

しかし、いったいどのような形で?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • マイクロバイオームとは、私達の体の内部や表面の他、家庭や学校などの生活の場のそれぞれに存在する微生物の集まりである。

  • 私たちはマイクロバイオームと生態系を共有している。即ち、互いの存在が無ければ、生きていけいない関係を結んでいるのだ。

  • 現代、急速な住環境の変化によって、人間とマイクロバイオームの生態的均衡は大きく乱れている。それによって、多くの病気が発症している。例えば肥満やうつがそれに当たる。

  • 生命は古細菌、細菌、真核生物の3種に分類される。生命は誕生後、まず細菌と、古細菌と真核生物の祖先へと分岐し、その後、古細菌と真核生物に分岐したと考えられている。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

本書では、微生物の種類、その検出方法について詳しく書かれている。その詳細については、本記事では言及していないため、興味のある方は本書を確認して欲しい。


正直、本書に書かれていることは、あなたの体は9割が細菌と大きく重複する。こちらを読んだ方は、本書は読む必要は無いだろう。

まとめ

今回は、私達と微生物の関係性について説いたマイクロバイオームの世界を取り上げました。

次回はSBC#37で発表された帝国の参謀をご紹介します。

Sendee Book Club #36:その他の発表図書、関連図書

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた

土と内臓 (微生物がつくる世界)

土と内臓 (微生物がつくる世界)

生命、エネルギー、進化

生命、エネルギー、進化

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SBC#35 [生物の起源は火星?] - 生物はなぜ誕生したのか

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課題図書

今回は2017年5月3日に開催されたSendee Book Club #35の図書の中から生物はなぜ誕生したのかをご紹介致します。

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学

生物はなぜ誕生したのか:生命の起源と進化の最新科学

生物は、どこから来たのか?

これは自然科学から宗教まで包含する、歴史上、最も壮大な問いです。

この問に対し、本書の著者らは、大変興味深い仮説を投げかけます。

即ち、生物は火星から来たのだと。

また本書では、地球上で起こった生物の栄枯盛衰の模様も描かれます。

そして、それを引きおこした犯人についての言及も。

その犯人とは?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 生物の痕跡として最も古いのは、西オーストラリア州のエイペクス・チャートで見つかった化石群である。これにより、少なくとも34億年前には、生物は地球上に存在していたことが明らかとなった。

  • 生物誕生の起源としては、3つの説が唱えられている。海底の熱水噴出孔で生まれたという説、大気中のメタンから生まれたという説、そして本書の著者が説く、火星由来説である。

  • 生物の栄枯盛衰に大きな影響を与えたのは、酸素と二酸化炭素濃度のバランスだ。両者はトレードオフの関係にあり、その変化は地球の生態系に大きな影響を与えてきた。

  • これまで生物は10回、大量絶滅に巻き込まれている。その主な原因は、二酸化炭素過多による温室効果だ。二酸化炭素濃度が高まり、酸素を絶たれたことで、多くの種が絶滅したのだ。一方でカンブリア爆発に代表される、新しい種の放散は、酸素濃度の上昇によって行われた。

  • 本書では、スノーボールアース仮説という興味深い説も提示されている。これは、地球はこれまで少なくとも2回、全体が氷に覆われる事態に見舞われたという説だ。これは世界各地の残る地層のデータから、ほぼ間違い無いと言われている。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

生物はなぜ出来たのか、地球はなぜこうあるのか、という気が遠くなるような問いに、神という安易な逃げ道を作らず、愚直に、仮説と証拠で向き合う科学者の姿勢には、尊敬の念を禁じ得ない。


34億年という途方も無い期間の間、一度も生物が途絶えなかったということは驚愕すべきことだ。そこには何か、途絶えてはならないという、生物全体に共有された思いがあるように感じられる。


本書は、三畳紀末期、白亜紀末期の大量絶滅の後に、恐竜、哺乳類などの新しい種が覇権を取れたのは、その環境にいち早く適応したからだと論じている。これは人間社会、経営とも通じるものだ。生物の生存・拡大戦略からは、経営を行う上で、多くのコトを学べるだろう。

まとめ

今回は、生物の起源と進化について説いた生物はなぜ誕生したのかを取り上げました。

次回はSBC#36で発表されたマイクロバイオームの世界をご紹介します。

Sendee Book Club #35:その他の発表図書、関連図書

生命、エネルギー、進化

生命、エネルギー、進化

植物が出現し、気候を変えた

植物が出現し、気候を変えた

生と死の自然史―進化を統べる酸素

生と死の自然史―進化を統べる酸素

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた (文春文庫)

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた (文春文庫)

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SBC#34 [自由と孤独] - 自由からの逃走

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課題図書

今回は2017年4月29日に開催されたSendee Book Club #34の図書の中から自由からの逃走をご紹介致します。

自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版

自由

近現代の人類の歴史とは、この言葉を中心に回ったと言っても過言ではありません。

人は自由を求め戦い、遂にそれを勝ち取ったが、その重さに戸惑い、遂にはそれを手放してしまった。

かくして、なぜ人はこれほどまでに自由に惹きつけられ、そしてそれを恐れるのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 人間はルネッサンス宗教改革、更には資本主義を通じて歴史上始めて自由を手に入れた。

  • 自由は近代人に独立と合理性を与えた。しかし一方で、個人を孤独に陥れ、個人を不安な無力なものにするという負の側面もはらんでいた。

  • 20世紀初期、多くの人間は自由の重さに耐えられなくなった。それゆえドイツでは、人々は積極的にナチズムのような全体主義イデオロギーに傾倒するようになった。またアメリカやイギリスのような民主主義国家でも、社会が求める既成の行動様式へ順応することで、自由から逃れようとした。

  • 人々は今、自由の重荷から逃れて依存と従属を求めるか、人間の独自性と個性に基づいた積極的な自由の完全な実現に進むかの二者択一を迫られている。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

本書のテーマの1つである「孤独」とは、私にとって、18際のときからの1つのテーマであった。本書の孤独が自由に起因するという仮説は、1つの示唆を与えてくれた。


夏目漱石は、それからにて、自由と孤独からの逃避は両立し得ないことを著している。私もこれに同意する。フロムは積極的な自由なるものを問いているが、それが自由である限り、孤独からは逃げられない。私達に与えられた選択肢は、自由と孤独の包容か、自由を放棄した他者依存だけだろう。ただ、だからと言って、それが悲惨なものとは限らない。

まとめ

今回は、自由の重さについて説いた自由からの逃走を取り上げました。

次回はSBC#35で発表された生物はなぜ誕生したのかをご紹介します。

Sendee Book Club #34:その他の発表図書、関連図書

精神分析入門 (上巻) (新潮文庫)

精神分析入門 (上巻) (新潮文庫)

それから

それから

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SBC#33 [近代世界は1つの巨大な生き物?] - 世界システム論講義

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課題図書

今回は2017年4月26日に開催されたSendee Book Club #33の図書の中から世界システム論講義をご紹介致します。

なぜ世界は今日のようにあるのか?

この問いはいつも、私達の関心を惹きつけて離しません。

本書はこの問いを、世界システムという概念を用いて解き明かします

そこから導き出された答えとは?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 近代世界を1つの巨大な生き物のように考え、近代の世界史をその展開過程としてとらえる見方、それが世界システム論である。

  • 近代の世界システムは、大航海時代の後半に、西ヨーロッパ諸国を中核とし、ラテンアメリカや東ヨーロッパを周辺として広まった。中核とは、世界規模での分業体制から余剰を吸収できる地域を指し、周辺とは、食料は原材料の生産に特化させられる地域を指す。今日、地球上のほぼ全ての地域はこのシステムに取り込まれている。

  • 世界システムが西欧を中心として起こった理由は、この地域が政治的統合を欠いていたからだ。国民国家の集合でしかなかったため、競争が生まれ、軍事力、経済力の発展が進んだのだ。

  • 世界システムは常に、中核が周辺を作り出す形で膨張した。植民地の拡がりも、その1つである。この周辺は、原材料、労働力を生み出す役割を担っただけではなく、中核における邪魔者を処分する役割も担った。

  • 世界システムの歴史では、他の中核を圧倒する超大国、ヘゲモニー国家も存在した。17世紀中盤のオランダ、19世紀中盤のイギリス、第二次世界大戦後のアメリカの三カ国がそれに当たる。ヘゲモニー国家は全て、最初は工業、後に金融を中心産業とするという特徴がある。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

西欧が政治的統合を欠いていたから軍事力、経済力の発展が進んだという仮説は、それだけでは、根拠に乏しい。これには、宗教改革からのプロテンスタティズムの起こり、その思想による資本主義の萌芽も説明されるべきだろう。


現代は世界システムにおいて1つの帰路にたっている。中国がヘゲモニーにならんと台頭しているからだ。非西欧国家のヘゲモニー化が、世界をどう変えるのか。いずれにしても、これまでの世界システムの延長線上に無い可能性は高いだろう。

まとめ

今回は、近代世界を1つのシステムとして考察した世界システム論講義を取り上げました。

次回はSBC#34で発表された自由からの逃走をご紹介します。

Sendee Book Club #33:その他の発表図書、関連図書

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

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