SBC#23 【グローバル化はコロンブス交換で始まった?】~ 1493

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課題図書

今回は2017年2月25日に開催されたSendee Book Club #23の図書の中から 1493をご紹介致します。

1493――世界を変えた大陸間の「交換」

1493――世界を変えた大陸間の「交換」

グローバル化

現代では、この言葉を聞かない日はありません。

では、その始まりはいつと定義されるべきでしょうか?

それは1493年、即ちコロンブスが新大陸に到達した翌年である、というのが本書の見解です。

その意味においては、1493年はコロンブス歴1年と呼ぶことが出来るでしょう。

ではコロンブス歴1年以降の世界はどう変わっていったのか?

その様子を覗いて見ましょう。

要旨

  • 1492年のコロンブスの新大陸到達以降に起こった大陸間の交わり(コロンブス交換)によって、世界の姿は一変した。食物、資源、病原菌、人間の大陸間の移動によって、2億年前の超大陸パンゲアの分裂以降隔絶されていた世界は、驚くほどに均質化していったのである。著者はこの1493年以降の時代を均質新世(Homogenocene)と呼ぶ。

  • 食物の移動は、飢餓の減少、食習慣の大きな変化に影響を与えた。新大陸から欧州に伝わったじゃがいもは、欧州、特に北欧で発生していた飢饉の減少に大きく貢献した。また新大陸から中国に伝わったさつまいも、とうもろこし、唐辛子は中国の食習慣を大きく変化させた。また中国の人口を大幅に増加させた。

  • 資源の移動もコロンブス交換の無視できない要因である。その中でも特に注目すべきは銀と天然ゴムだ。新大陸で取れた銀は、貨幣の鋳造が出来ず混乱をきたしていた明王朝によって大量に輸入された。それと引き換えに、中国の絹や陶磁器が世界に広まっていった。また新大陸の天然ゴムは西洋で産業革命が起こるのに多大なる貢献を果たした。

  • 一方、コロンブス交換は悲劇も引き起こした。それは病原菌の移動によるものだ。旧大陸から新大陸へ運ばれた黄熱病、天然痘マラリアは新大陸の人口を大幅に減少させた。人口が激減した新大陸の統治者は、奴隷として、大量のアフリカ人を連れてきた。このようにコロンブス交換は人間の移動も引き起こしたのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

大陸間の物質移動によって世界の飢餓が激減し、産業革命も花開いた。これは、昨今世界で蔓延している保護貿易への強烈なアンチテーゼと言えるだろう。

昨今、世界は保護主義に揺れていますが、今だからこそ貿易とはどうあるべきか、考える必要があるのかもしれません。

情報革命の最中にある現代は、1493年周辺以降の大コロンブス交換時代と言える。これにより世界は更に均質化していく。今後、総和としては世界は更に豊かな方向に向かうのだろう。しかし一方で、世界各地の特色が失われる悲しさも感じる。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回はコロンブス交換が世界に及ぼした影響を説いた1493を取り上げました。

次回はSBC#24で発表された想像の共同体をご紹介します。

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