SBC#40 [三分の天災、七分の人災] - 毛沢東の大飢饉

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課題図書

今回は2017年5月24日に開催されたSendee Book Club #40の図書の中から毛沢東の大飢饉をご紹介致します。

毛沢東の大飢饉  史上最も悲惨で破壊的な人災 1958?1962

毛沢東の大飢饉 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958?1962

大躍進政策

1958年、毛沢東の号令によって始まったこの農業・工業の大増産政策は、想定とは裏腹に、多くな餓死者を出す結果に終わりました。

そして、このとき生じた混乱は、数年後、文化大革命という形で、更なる混乱を中国大陸に引き起こします。

この大躍進政策は、なぜ始まり、どうしてこのような惨憺たる結果に終わったのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 毛沢東は1958年に大躍進政策という、農業・工業の大増産政策を開始した。そのきっかけはソ連への対抗心であった。ソ連のフルシチョフが掲げた農業生産計画に対抗するために、毛沢東大躍進政策を始めたのだ。その目標は、農工業の生産指標において3年以内に、当時世界第二位の経済大国の英国を抜くという、到底実現不可能なものだった。

  • 毛沢東が推し進めた大躍進政策は、実現可能性から乖離した過大なノルマ、ずさんな管理によって、農業・工業の生産性を大幅に低下させた。結果、中国全土に大飢饉を引き起こした。1958年~1962年の間に、少なくとも4,500万人が避けられたはずの死を遂げたと言われている。

  • 1962年の党大会にて、毛沢東大躍進政策の失敗を認め国家主席を辞任する。その後、毛沢東の側近であり、かつ大躍進政策を終始批判していた劉少奇が党主席となり、中国を率いることになる。しかしこのとき生じた党内の亀裂が、後に文化大革命を引き起こすことになる。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました

大躍進政策の失敗は、昨今の日本の大企業の不祥事と根は同じだ。トップの顔色だけ見て、顧客(国民)を見ない姿勢。実態とは乖離した数字を作りだし、それに安堵する非誠実さ。失敗する組織の特徴は、国家であれ企業であれ変わらない。組織づくりの他山の石としたい。


大躍進政策&文革から改革開放への国民性の変化は、同じ国とは思えないほどの変わりようである。私が知っている中国人の性質は、本書で描かれる全体主義服従するそれとは大きく異る。中国人も朱に交われば赤くなるのだろう。とかく、私は1年滞在しただけで知った気になっていたが、実のところ中国という国を、まだ全然知らないのだと思わされた。

まとめ

今回は、大躍進政策の惨状について説いた毛沢東の大飢饉を取り上げました。

次回はSBC#41で発表されたなぜ国々は戦争をするのかをご紹介します。

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