ZBC#66 [意識の外側] - あなたの知らない脳
課題図書
今回は2017年9月30日に開催されたZenport Book Club #66の図書の中からあなたの知らない脳をご紹介致します。
あなたの知らない脳──意識は傍観者である (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: デイヴィッド・イーグルマン,大田直子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2016/09/08
- メディア: 文庫
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脳と意識
日常生活の中で、私たちは自分の思考や行動が自分の制御下にあると思い込んでいます。
しかし神経科学者であるデイヴィッド・イーグルマン教授は、「私たちの思考や行動の大半は、私たちの意識の支配下に無い」と説きます。
では私たちの行動を司るものは何なのでしょうか。
要旨を見ていきましょう。
要旨
私たちの思考や行動の大半は、私たちの意識の支配下に無い。それらは脳が勝手に反応し、行っている活動である。すなわち、私たちの意識は脳の活動を傍観しているにすぎない。
人間の意識は単一的に存在するものではない。私たちの脳内には常の複数の考えが存在し、状況によってある考えが選ばれ表面に出てくる。政党政治に似た意思決定構造が脳の中で行われているのだ。
人間の活動の多くは意識外で行われるため、脳の状態によって犯罪をおかしてしまうこともある。その場合、その責任は問われるべきなのだろうか。結論を言うと犯罪の有責性を問うことは無意味だ。むしろ、犯罪者の厚生に重点を置く刑罰精度について議論することが必要である。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
私たちの思考や行動が意識外にあるのだとすれば、私が今行うべきは、意識下の制御能力を強化することではなく、無意識を意識を使って如何に把握し制御することなのだろう。これは無知の知の精度を上げるプロセスにも似ている。
改めて、脳の構造は社会と似ていると感じた。以前のコネクトームにかかれていたように、何十億という単位から構成されており、その繋がりによって事象が発露する点。また複数の考えを内包し、場面に応じて考えが選ばれる点など類似点が多い。社会を知りたければ、脳を知ることは1つの手段になるかもしれない。もちろん逆もしかりである。
まとめ
今回は、脳の知られざる営みについて説いたあなたの知らない脳を取り上げました。
次回はZBC#67で発表されたマネーの進化史をご紹介します。
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