ZBC#65 [心の配線図] - コネクトーム
課題図書
今回は2017年9月23日に開催されたZenport Book Club #65の図書の中からコネクトームをご紹介致します。
コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか
- 作者: セバスチャン・スン,青木薫
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2015/11/18
- メディア: 単行本
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わたしの心はなぜ他人と違うか。
人類が生まれながらに背負ったこの問いに対し、本書の著者であるスン教授はある答えを示します。
それはコネクトーム。
すなわち、私を私たらしめているのはコネクトームだと、彼は説いているのです。
ではこのコネクトームとは具体的にどう私たちの心を形作っているのでしょうか?
そして、私たち人類はその深淵にどれほど近づいているのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
コネクトームとは脳の全神経細胞ネットワーク地図のことである。私たちの脳には1,000億のニューロンが存在し、それが各々100~1,000個のニューロンと紐付いている。私たちの意識や心を形作るのは、このコネクトームの様相であると考えられている。
これまで人類はヒトのコネクトームの解明に取り組んできた。しかし残念ながら、まだその姿は明らかになっていない。コネクトームの構造は複雑すぎるため、現代の技術を持ってしても解読できない。しかし今世紀末には、ヒトコネクトームは解読できると考えられている。
コネクトームは日々変化している。その変化の方法は4つのRで表現できる。再荷重(Reweighting)、再接続(Reconnecting)、再配線(Rewiring)、再生(Regenerating)である。これはコネクトームが経験により変改することを意味している。すなわち私とは、遺伝だけではなく、経験の産物でもあるのだ。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
世界が70億のヒトから構成され、そのネットワークで出来ていることを考えると、世界と脳は似ているは言えないか。そう思うと、ヒトの意識を探るのは、世界の構造を探ることに似ている。
人はなぜあるのか。私たちとは何なのか。デカルトやパスカルという哲学の巨人が思索した問いは、生物学の手によって解明されつつある。人類がその時代の認識で区別した分類を、科学と技術の進歩が溶かす。この人類の営みに私は強く惹かれるし、私もその営みの一部になりたいと強く願う。日々取り組んでいることが、その一助に成るはずだと信じ、これからも日々精進したい。
まとめ
今回は、心を司る脳神経ネットワークについて説いたコネクトームを取り上げました。
次回はZBC#66で発表されたあなたの知らない脳をご紹介します。
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