ZBC#68 [政府の裁量] - 資本主義と自由
課題図書
今回は2017年10月14日に開催されたZenport Book Club #68の図書の中から資本主義と自由をご紹介致します。
- 作者: ミルトン・フリードマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/04/17
- メディア: 単行本
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ミルトン・フリードマン:シカゴ学派の経済学者。ノーベル経済学賞受賞者。
フリードマンが1960年代に唱えた、この限りなく小さな政府を志向する考えは、後の指導者に大きな影響を与えました。
例えば英国のサッチャー首相、米国のレーガン大統領は、この思想に影響される形で、国営企業の民営化、規制緩和の徹底を行いました。
日本においても、郵政民営化に代表される小泉政権の政策は、新自由主義の影響を大きく受けていたと言われています。
政府のあり方を根本から問いただし、今なお統治のあり方に対して影響を与えるこの思想のあらましは一体どんなものなのでしょうか。
要旨を見ていきましょう。
要旨
経済では市場に任せられることは全て市場に任せるべきである。政府の役割は最低限に止めなければならない。このような考えを新自由主義という。新自由主義における原則は次の2つである。第一に、政府の役割は制限を設けるべきだということ。次に、政府の権力は分散されるべきだということである。
政府は以下の項目を行うべきではない。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
フリードマンの新自由主義には概ね同意するが、一部賛成しかねる。特に輸入関税の撤廃には反対だ。平等(equality)よりも公平(fairness)の方が必要だと考えるからだ。元の体力が違う国家同士で自由貿易を行えば、体力のある国が勝つことになる。それを防ぐのが輸入関税だ。そのおかげで、西欧諸国が覇権を握る世界において、日本、中国、インドなどの国々は発展出来た。もちろん行き過ぎた保護貿易は忌避されるべきだが、強国の論理で途上国を蹂躙することもまた避けられるべきである。
政治の難点は、統計的有意性と再現性の確保が難しいため、一般解を導けないことだと思う。例えば、日本に新自由主義を完全導入したとして、その成果を論じるには10年単位の時間が必要となる。また仮に成果が出たとしても、その事例を他国に導入、または後の時代の同国に導入したところで、同じ結果が得られるとは限らない。サンプルの同質性を担保されておらず、また外部環境も時間が経つことで変わっているからだ。また、政策の非可逆性も大きな問題である。例えば、一度ケインズ主義をとった国家は、既得権益の発生を許すため、自由主義には戻りにくくなる。
すなわち政治とは、科学的検証が出来ない試行の蓄積でしかない。
このような現状で良いのか。私はそうは思わない。国家も今後、科学的な仮説検証を素早く行える集合体に変容すべきだ。そのためにはどうすれば良いのか。それについては長くなるので、また別の機会に個人ブログで論じたい。
まとめ
今回は、新自由主義について説いた資本主義と自由を取り上げました。
次回はZBC#69で発表されたペンタゴンの頭脳をご紹介します。
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