ZBC#47 [胡椒と植民地主義] - 胡椒 暴虐の世界史
課題図書
今回は2017年7月1日に開催されたZenport Book Club #47の図書の中から胡椒 暴虐の世界史をご紹介致します。
- 作者: マージョリーシェファー,Marjorie Shaffer,栗原泉
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2014/12/25
- メディア: 単行本
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胡椒
この芳醇な香りを抱いたスパイスは、15世紀当時、最高級の嗜好品として富裕層に消費されていました。
それゆえ、その富を手にするべく、当時、多くの荒くれ者がヨーロッパ人が船を出し、アジアへと向かいました。
この動きは、大航海時代の幕開けとなり、後の植民地主義の契機ともなりました。
要旨
胡椒は、15世紀の大航海時代の象徴とも呼べる存在だ。これはインドや、インドネシア等のアジアの熱帯地方にしか育たない植物だったので、流通が発生していない当時は、高級品として取引されていた。これを一攫千金のチャンスと捉え、ヨーロッパから多くの荒くれ者が、アジアに向けて船を出した。その中には、かのバスコ・ダ・ガマも含まれている。
胡椒の覇権は、それ自体、アジアでの覇権を意味していた。最初にこの地位を手にしたのはポルトガルである。その後、その地位はオランダ、イギリスと遷移していく。この競争は植民地主義のキッカケともなった。
胡椒は会社という組織の発展も後押しした。かの有名な東インド会社は、胡椒を含むスパイス貿易を取り締まる機関として設立された。胡椒の存在は、商業活動の歴史にも大きな影響を与えているのである。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
胡椒が富の象徴となり、結果、原産国に負の遺産を残したという帰結は、砂糖のそれと大きく重なる。またその姿は、現代の石油と産油国の関係にも重なる。土地が豊かであるということは、非対称性の多い世界においては、むしろ負の影響を持つのだろう。
メインディッシュとはなりえない胡椒が、これだけの価値を持てたことは、B2Bビジネスの可能性を示唆している。肉、魚、野菜などの食物がB2C食物だとするならば、胡椒はB2B食物と呼べるだろう。しかし、全てのB2C食物の価値を高められるという使いやすさ故に、胡椒はB2C食物を凌ぐほどの価値を有するに至った。B2Bビジネスの本質が胡椒から透けて見えるようだ。
まとめ
今回は、胡椒が世界史に及ぼした影響について説いた胡椒 暴虐の世界史を取り上げました。
次回はZBC#48で発表された隷従への道をご紹介します。
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