ZBC#54 [まだ夜が、暗闇だった頃] - 失われた夜の歴史
課題図書
今回は2017年7月29日に開催されたZenport Book Club #54の図書の中から失われた夜の歴史をご紹介致します。
- 作者: ロジャー・イーカーチ,樋口幸子,片柳佐智子,三宅真砂子
- 出版社/メーカー: インターシフト
- 発売日: 2015/01/24
- メディア: 単行本
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かつて産業革命が起こるまで、夜は暗闇が支配する世界でした。
そして夜は、光が支配する昼とは異なる文化を持つ場所でもありました。
同じ人間たちが形成する社会であるにもかかわらず、夜は、昼とは全く違う顔をもつ世界だったのです。
その夜とはどんな世界だったのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
産業革命到来以前の西洋社会、その時代の夜は、独自の文化を持つ昼とは別の世界だった。社交性、労働、道徳的習慣などが、昼のそれとは大きく異なっていたのだ。
夜は危険な場所であった。盗賊、追剥が跋扈し、外出や労働はほとんど困難であった。また夜は魔女や妖精が現れる時間だとも考えられていた。
一方で、夜は解放の時でもあった。昼には出来ない秘密の会合や、放縦や陶酔が許される時間だった。
当時、権力者にとって夜は自身の権威を高めるために必要なものだった。夜の闇が深く危険であるほど、昼を支配する神官や王族の権威は、より増すと考えられたからだ。
夜が暗闇だった頃、睡眠の形式も現在と異なっていた。当時は、夜に一度起きてはまた寝る分割睡眠が常態だった。第1の眠りと第2の眠りの間に、彼らは祈り、朝ご飯の支度、また愛の情事などを行っていた。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
技術の発達が、人の時間の使い方を変えたという観点から見ると、夜の消失も一種の分業、革命と言って良いだろう。
夜の心理状態の関係性には大変興味がある。夜になると心理状態が危機回避の方に触れるのは自身の経験からも明らかだと思う。なぜ人間はそのように進化したのかについて、深く掘り下げたい。
夜という存在は、人間を含む生物全体の進化にも大きな影響を与えたことは、想像に難くない。夜がなければ、繁栄する種は異なったはずだ。そもそも、夜という存在がなければ、睡眠という行為もなかったかもしれない。この、生物と夜と睡眠の関係については、時間があればもう少し調べてみたい。
まとめ
今回は、暗闇だった頃の夜について綴った失われた夜の歴史を取り上げました。
次回はZBC#55で発表された最高機密エージェントをご紹介します。
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