ZBC#77 [ISの起源] - ブラック・フラッグス
課題図書
今回は2017年11月25日に開催されたZenport Book Club #77の図書の中からブラック・フラッグスをご紹介致します。
- 作者: ジョビー・ウォリック,伊藤真
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2017/07/26
- メディア: 単行本
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IS
この残忍な行動で世界を恐怖に陥れるイスラム原理主義集団の誕生の背景には、一人の人間の存在がありました。
その名はザルカウィ
ISの前進であるイラクのアル・カイーダの創設者です。
彼は何者であり、何が彼を表舞台に引き上げたのか。
要旨を見ていきましょう。
要旨
ISは2014年、アルー・バクル・アル=バクダディの手によって創設された。この組織の起源は「イラクのアル・カイーダ(AQI)」に端を発する。バクダディはAQIの第三代リーダーであり、ISの行動方針はAQIの思想に大きな影響を受けている。このAQIを創設した人物が、本書の主人公のアブー・ムサブ・アッ=ザルカウィである。
ザルカウィはヨルダン北部ザルカに生まれた。少年期、数多くの軽犯罪に手を染めた彼は、監獄暮らしの際にイスラーム主義に目覚め、イスラーム過激派で構成されたテロ組織を率いるに至る。
ザルカウィはアメリカの手によって生み出されたと言っても過言ではない。イラク戦争で、イラクを攻撃する口実を探してたアメリカは、フセインとアル・カイーダの共謀の証拠として、フセインとザルカウィの関係を世界に喧伝した。このプロパガンダ自体は誤りだったのだが、この機会を利用してザルカウィは自身への信奉者を大きく募ることに成功する。
ザルカウィの破滅は自らの手によって惹かれた。彼は祖国であるヨルダンのアンマンにて自爆テロを実行させる。これが罪のない市民を多数巻き添えにしたことにより、多くのイスラム宗教指導者の信頼を失う。またヨルダン国王アブドゥッラ二世の強硬姿勢を誘発することになり、これが彼の命運を決することになる。
ザルカウィの残した思想はISの行動に散見される。市民に対する圧政、罪のない外国人を誘拐・殺害し、その状況をネットに流し恐怖を煽る手法などがその典型だ。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
ザルカウィの正義には賛同できないが、本書内で彼が見せるリーダーシップは、優れたリーダーが持つべきそれだ。ビジョンを掲げ、あらゆるものを犠牲にしそれに邁進する姿勢。傷を負った部下を誠心誠意介抱する。思想では折り合えないが、彼の姿勢からは学ぶべきことがある。
私は、世界平和実現の手段の一つは人類全員に十分な食料とエネルギーを届けることだと思っている。人々が争う理由は、食料、文化的な生活、あと土地が万人に与えられて無いことだろう。もちろん思想の違いによる対立も起こるが、これは食料や文化的な生活が保証されれば、殺し合いの連鎖には至らないのではと思う。命ある間に、この仮説を検証したい。
まとめ
今回は、IS誕生の経緯を描いたブラック・フラッグスを取り上げました。
次回はZBC#78で発表されたプーチンの国をご紹介します。
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