SBC#10 【人類史上 最も力なき権力者】~ 権力の終焉

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課題図書

今回は2016年11月19日に開催されたSendee Book Club #10の図書の中から 権力の終焉をご紹介致します。

力なき権力者。この矛盾をはらんだ言葉は誰に向けられた言葉なのでしょうか? その答は、この時代の全ての為政者です。

書棚の歴史書を開かずとも分かる通り、かつて権力者とは絶大な力を有するものでした。アレクサンダー大王に始まり、近年のスターリン毛沢東に至るまで、歴史上の権力者と呼ばれる人たちは凄まじい権力を誇ってました。 それこそ、そのときの気分で権力下にある者の生死を左右できる程の。

しかし現代に生きる権力者の権力は、歴史上の彼らのそれと比較すると著しく頼りないものです。それはなぜなのでしょうか?

要旨

  • 近年、支配的な地位にある者が行使できる権力は衰退している。それはマイクロパワーの台頭による。ここで言うマイクロパワーとは、支配者に成り変わる力は持たないが、支配されることも無い者たちの総称である。

  • マイクロパワーの台頭を促したのは3つのMの革命である。1つはmore革命、1つはmobility革命、最後の1つはmentality革命である。近年世界は以前より豊かになり(more革命)、人々は世界のどこにでも容易に移動出来るようになった(mobility革命)。それにより、人々の意識に大きな変化が生じた(mentality革命)。多種多様な考えをもつようになっただけでなく、権力に隷属しなくても生きていけるようになったため、権力者は彼らを統治するのが難しくなったのである。

  • この権力の分散化のトレンドは今後も変わらない。今後世界はG0時代を迎えるだろう。即ちどの国にも支配されない世界がやってくる。歴史上初めて世界は相互に依存する、かつ重心が存在しない世界が到来するのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

権力は本当に弱まっているのだろうか。私は権力者になったことが無いため分からないが、この仮説には少々疑問を覚える。現在、権力に起こっている実証は「遷移」と「透明化」では無いかと思う。言わずもがな、現在権力は大国からグローバル企業に移っている、これが遷移である。かつ彼らは見えない所で人々を支配するに至っている(例えば個人情報の取得などによって)。これが透明化である。権力の変化の実態はこうなのではなかろうか。

本書の主張に異議を唱える意見ですね。確かに昨今のトランプ現象や、未開発国の独裁者の権勢を見ると、本書の主張に完全には同意できないですね。

マイクロパワーを率いる者としては本書の仮説は勉強になる。戦い方の参考として、本書内で語られているゲリラ組織、信仰宗教団体の戦略は研究してみたい所だ。

本書ではマイクロパワーの例としてゲリラ組織や宗教団体の例が取り上げられます。興味がある方は、是非本書を手にとってみてください。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回は権力の衰退について綴った権力の終焉を取り上げました。 次回はSBC#11で発表されたピクサー創造する力をご紹介します。

Sendee Book Club #10:その他の発表図書、関連図書

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SBC#9 【戦争が世界の物流を一変させた?】~ コンテナ物語

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課題図書

今回は2016年11月12日に開催されたSendee Book Club #9の図書の中から コンテナ物語をご紹介致します。

あるモノの出現が世界の物流を大きく変えた。そのモノの名前は「コンテナ」。20世紀最大のイノベーションと言っても過言でもないこの箱はどのように生まれ、どのように世界を変えていったのか。

その足跡を辿ってみましょう。

~~~

要旨

  • アメリカの陸送業者であったマルコム・マクリーンは、コスト削減のためにトラックの「箱」だけを分離して船に載せるアイデアを思いついた。これがコンテナ誕生の瞬間であった。

  • コンテナの出現が国際貿易のコストを従来の1/50にした。輸送費が主要なコストではなくなった結果、製造業ではどこで作るかを考える際に輸送コストを考える必要がなくなった。結果現地の労働力単価などが主要な指標となり今の国際分業体制が確立された。

  • しかしながらコンテナの導入は当初は既得権益の抵抗により進まなかった。これを打破するきっかけとなったのはベトナム戦争であった。戦場の兵士に安全に物資を届けるにはコンテナの利用が不可欠であったため軍がその導入を後押ししたのだ。それが契機となり、コンテナの利用は民間にも広がった。

  • コンテナの導入は港の覇権も大きく変化させた。コンテナ導入前に世界有数の港だったニューヨークやサンフランシスコは、コンテナへの対応に遅れ、コンテナ後の世界にあっては存在感を失った。一方コンテナへの対応を行ったシンガポール、上海、釜山などの諸都市は、世界有数の港にのし上がった。技術の変遷に目をつけ半歩先の対応をとることが栄枯盛衰の世を生き残る手段だと言うことをコンテナは語っているのだ。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

コンテナ輸送の確立、普及はマルコム・マクリーンという経営者の頑張りに拠る。彼が手段を選ばず実現を目指したことがコンテナ輸送の実現につながった。技術は、たとえそれが革新的であったとしても、その魅力だけで世界に普及するわけではない。それを普及させようとうする個人の不断の努力によってこそなされるのだ。

イノベーションというものは革新的なアイデアだけで為せると誤解されがちですが、その実現の裏には政治力・忍耐といった極めて泥臭く人間くさいものが求められます。コンテナの物語もそれを裏付けているようです。

壊れやすく盗難に会いやすい電子製品にとってコンテナ輸送は最適であり、コンテナの普及が日本の電子製品の輸出を後押しし、その結果北米、欧州市場を制覇するに至ったという論説は目からウロコであった。経済における勝敗はこのような多種の要因により導かれる。

経済に関わらず勝負の成否は得てして思いがけない要因に左右されるものです。言ってみれば運に委ねられていると言ってもいいでしょう。

抽象化、規格化はコスト削減の有用手段でありビジネスの大きなチャンスである。これらが生じてる分野が他にないか探してみたい。そこにビジネスの種は眠っているはずだ。

抽象化、規格化が起きる世界ではオーダーが一桁以上変わりえます。事業家の方ははこの視点から市場を探すと効果的かもしれません。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回はコンテナの歴史について綴ったコンテナ物語を取り上げました。 次回はSBC#10で発表された権力の終焉をご紹介します。

Sendee Book Club #9:その他の発表図書、関連図書

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#8 【本当に適切な豊かさの指標?】~ GDP<小さくて大きな数字の歴史>

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課題図書

今回は2016年11月5日に開催されたSendee Book Club #8の図書の中から GDP<小さくて大きな数字の歴史>をご紹介致します。

GDPは経済規模の指標として最もよく使われている指標ですが、この数字は何を測ったものなのでしょうか? そしてこの数字にはどういう意味があるのでしょうか? 大きければ大きいほど良いのでしょうか?

数式なしに経済学でよく使われるGDPの歴史を紐解いていきます。では要旨を見ていきましょう。

要旨

  • GDPはWW2時の戦争調達費用の統計資料として開発された。GDPは、WW2後の大量生産社会においては、経済規模を測る指標として大変有効に機能した。

  • しかし、GDPは現在の経済を測る指標としては3つの課題を抱えている。

    1. イノーベーションの価値を算出できない
    2. 質を計算できないため、サービスや無形資産の算出が困難。
    3. 持続可能性を測れない。
  • 現在GDPに変わる指標も提唱されているが、それらは未だGDPを代替するに至っていない。ゆえに今後も当分は、我々はGDPを使いつづける他ない。しかしそれが我々の経済の豊かさを完全に繁栄する指標でないことは重々承知しておくべきだ

参加者の見解

参加者からは次のような意見が出されました。

統計資料の結果とは、計算方法でどうにでもなる。一方GDPの計算方法は多くの国では開示されていない。日本然り、中国然り。すなわち恣意的に修正しようと思えば出来るということ。常にその心配があることを理解すべき。

サブプライムショックなどの大きな金融危機が発生すればGDPの数%が失われることになります。しかし、私達の生活が直接貧しくなるということはないでしょう。計算によって算出された数値はあくまで参考値であって、本当の豊かさはGDPのみでは測れないのかもしれません。

経済が複雑さを。その国の実態を知りたければ、数字を見るでなく、実際に足を運んで目耳肌で感じるべき。

その国の経済環境を知るには統計的データに加えて実地調査が欠かせません。例えば中国の不動産バブルも実際にマンションに足を運んで見ればわかることです。机上の数値に惑わされることなく一次情報で判断することがビジネスでは必要不可欠です。

まとめ

今回はGDPという指標の歴史について論じたGDP<小さくて大きな数字の歴史>を取り上げました。 次回はSBC#9で発表されたコンテナ物語をご紹介します。

Sendee Book Club #8:その他の発表図書、関連図書

GDPとは何か―経済統計の見方・考え方

GDPとは何か―経済統計の見方・考え方

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#7【サピエンス×虚構=支配】~ サピエンス全史

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課題図書

今回は2016年10月29日に開催されたSendee Book Club #7の図書の中から サピエンス全史をご紹介致します。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

2016年で一番の傑作を決めろと言われれば、多くの方が間違いなくこの書籍を挙げるでしょう。

本書の著者はユヴァル・ノア・ハラリ教授。歴史、特に軍事史の専門家であるヘブライ大学の教授です。

本書で彼は、アフリカの隅に佇む力なきものであった我々ホモ・サピエンスが、なぜ地球を支配するに至ったかを、大胆な仮説を用いて解き明かします。

そのキーワードとなるのは「虚構」。

この虚構によって、我々ホモ・サピエンスは何を手に入れたのでしょうか?

そして我々ホモ・サピエンスはどこに向かおうとしているのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 人間(ホモ・サピエンス、以降サピエンス)は、三つの革命によって現在の繁栄を手に入れた。第一の革命は認知革命である。これによりサピエンスは、集団で共有可能な、国家、宗教、貨幣のような、虚構を作れるようになった。

  • 認知革命でサピエンスが発展できた理由、それは多数の(150人以上)の見知らぬ者同士が、協力しあえる集団を作れたからである。サピエンス以外の生物は、150個体以上の集団を作れない、なぜなら、サピエンス以外の生物は虚構を共有できないため、顔を合わせる個体としか協力出来ないからである。
    ※顔を合わせられる集団の数は150程度が限界。これをダンバー数と言う

  • 続いて、第二の革命である農業革命によって、サピエンスは定住する術を手に入れた。またサピエンスは、食料を定期的に得る術も手に入れたため、食料採集以外に扱える自由な時間も手に入れた。この農業革命と、先程述べた認知革命によって、サピエンスは国家、宗教、貨幣という虚構を作りあげていった。これがサピエンスの進化を更に加速させることとなった。

  • およそ500年前、サピエンスは第三の革命である科学革命を起こした。これを可能にしたのは2つの要因、無知の知、そして政治と経済という虚構である。無知の知によって、サピエンスは全能の神と言う虚構から解き放たれ、真理を自身の手で追い求めるようになった。また政治と経済という虚構は、将来には富が増えるという期待をエンジンにして、科学への投資を助長し続けた。これによりサピエンスは科学革命を実現した。結果、サピエンスは今我々が目にする繁栄を手にする。

  • サピエンスの進化、それは得てして他の種の絶命を招いた。サピエンスは他の全てのホモ属をの息を止めた張本人であり、またそれ以上の生物種を絶滅に追いやってきた。サピエンスの進化は、地球という物語から見れば悲劇なのである。

  • 3つの革命によって、サピエンスは他の生物とは一線を画する繁栄を手に入れた。そしてサピエンスは今、生物の束縛から逸脱した進化を遂げようとしている。それは、AI、ゲノム編集、ロボットなどの力によるものだ。これにより、サピエンスはあらたなホモ属を生み出す可能性がある。そのとき、サピエンスは種の孤独から解放されるのだ。

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

認知革命の仮説が正しいとして、ではなぜサピエンスだけが認知革命を達成できたのか?なぜ他の種では起きなかったのか?認知革命が起きた要因は想像力の獲得にあり、それにはサピエンス特有の脳の進化が関係していると考えられる。しかし、だとすれば何故サピエンスだけそのような進化を経たのか?その進化の要因と、脳の進化の内実(想像力とはすなわちどんな物理現象なのか)を詳しく掘り下げたいところだ。

興味深い意見ですね。他にはこんな意見も。

サピエンスの力は集団で行動できることにある。ならば我々がすべきことは、集団が行動できる虚構をいかに作るか、または集団の一員として何を為すかであろう。時代遅れの(数万年単位の)個人プレーに拘泥するのは愚かという他無い。

確かにサピエンスの最大の能力である「虚構の共有」を活かさない手は無いですね。そう考えると、歴史に名を残す偉人には虚構を上手く扱えた方が多いのがわかります。ナポレオン、田中角栄スティーブ・ジョブズなど。

本書で書かれている、「火の使用が消化に使うエネルギーを減少させ、それによってサピエンスは余ったエネルギーを脳に使えるようになった。それがサピエンスの脳の進化を促した」という仮説は大変興味深い。これにとどまらず、サピエンスの身体は何故こうなったのかについて、更に知見を積み重ねたい。例えば親指の進化や、尻尾の消失など。

我々サピエンスの身体が何故こうなっているかは、飽きることのない考察テーマですね。なぜ二足歩行なのか、なぜ体毛が薄くなったのかなども、時間をとって考察してみたいテーマです。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんは本書を呼んでどんな感想を持たれたでしょうか?

まとめ

今回は、ホモ・サピエンスが地球を支配するに至った過程を描き出した、サピエンス全史を取り上げました。

次回はSBC#8で発表されたGDP〈小さくて大きな数字〉の歴史をご紹介します。

Sendee Book Club#7:その他の発表図書、関連図書

意識をめぐる冒険

意識をめぐる冒険

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#6【資源の呪い】~ 喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

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課題図書

今回は2016年10月22日に開催されたSendee Book Club #6で取り上げた図書から 喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日をご紹介致します。

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日

本書はフィナンシャル・タイムズの調査報道特派員であるトム・バージェス氏が2006年からアフリカに滞在しを取材した際の知見をまとめた書籍です。

最後のフロンティアと呼ばれるアフリカ。一見限りない可能性があるように思われるこの地で彼が見たものは、終わりの見えない貧困の螺旋と、資源がかけた呪いでした。

早速要旨を見ていきましょう。

要旨

・アフリカでは天然資源の富を、一部の権力者が独占している。そのシステムの構築に、中国のクイーンズウェイグループを率いる徐京華氏が手を貸している。そのシステムは以下のようなものである。

  1. アフリカの天然資源国の支配階級と合弁会社(実態はペーパーカンパニー)を作る
  2. 合弁会社が中国の国有銀行から融資を受け、天然資源国のインフラ建設にその資金を充てる。
  3. 合弁会社は天然資源国が中国に売却する石油等で得た利益で、中国の国有銀行に借金の返済をする
  4. 結果、融資と返済を仲介するだけで合弁会社は利益を上げる。この利益がアフリカの支配階級とクイーンズウェイグループに還元される。

・資源産業は国内に富を還流させない。その理由は次による

  1. 天然資源の収入は、税金とは違い国民の同意を必要としない。それゆえ、統治者は国民との間に社会契約を結ぶ必要がない。結果、国民を無視した政治運営がなされる。
  2. 天然資源産業は雇用を産まない。それゆえ国民に雇用を提供できない。結果、国民にお金が回らない。

・植民地から独立した今でも、アフリカは何も変わっていない。天然資源の略奪システムの受領者が変わるだけで、大多数の国民には富が回らないでいる。アフリカを資源の呪いから解き放つ術は、未だ見いだせていないのが実情だ。

いかがでしょうか?未だアフリカは変わっておらず、資源は時として国を不幸にすることが強く印象付けられる内容でしたね。

補足

・オランダ病:資源が売れることでドルが流入する。それにより自国通貨が高くなり、輸出競争力が下がる。結果、製造業が衰退し、そこで働いていた人たちは失業するという現象。資源の呪いとほぼ同義。

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

資源産業は国内に雇用を産まない。これが国民の所得の底上げを阻害する。それを思うと資源が無かった日本は幸せだったと言える。

確かに持たざるものとして戦えられた日本は幸せだったのかもしれません。

他にはこんな意見も。

世界で戦うには清濁を併せのむ必要がある。綺麗事だけやってはいられないことを肝に銘じる必要がある。

確かに限りある資源を求めて争う以上、綺麗事だけでは行きていけない場面は出てくるでしょう。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんは本書を呼んでどんな感想を持たれたでしょうか?

まとめ

今回はアフリカに地で暗躍する中国の姿について取り上げました。 次回はSBC#7で発表されたサピエンス全史をご紹介します。

Sendee Book Club#6:その他の発表図書、関連図書

国際秩序

国際秩序

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#5【クリスパーはガタカの夢を見る】~ ゲノム編集とは何か「DNAのメス」クリスパーの衝撃

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ゲノム編集とは何か「DNAのメス」クリスパーの衝撃

今回は2016年10月15日に開催されたSendee Book Club #5で取り上げた図書から ゲノム編集とは何か「DNAのメス」クリスパーの衝撃をご紹介致します。

本書はKDDI総研リサーチフェローの小林雅一氏が、夢のゲノム編集技術と呼ばれているCRISPR/Cas9(以降:クリスパー)を取材した際の知見をまとめた書籍です。

世界を変える技術と言われるクリスパー。それはどのような経緯で生まれ、今後私たちにどのような影響を及ぼしうるのでしょうか?

早速要旨を見ていきましょう。

要旨

・クリスパー(CRISPR/Cas9)というゲノム編集技術は、遺伝子組み替えを大幅に簡単にする技術である。この技術は医療、食品などの業界に影響を与えるにとどまらず、地球の生態系を変える可能性も秘めている。

・クリスパーはその革新的な技術的側面もさることながら、その裏で繰り広げられる特許戦争でも注目を集めている。カリフォルニア大学バークレー校のJennifer Doudna博士陣営とマサチューセッツ工科大学Feng Zhang博士陣営は共に自身が特許を有すると主張している。本闘争はその潜在的な社会への影響力、そこから生まれるであろう莫大な利益ゆえに、世界の研究機関・一流企業を巻き込む規格外の闘争となっている。

・現在グーグルやアマゾンと言った世界的な大企業もこの分野に投資している。このような巨大資本により生物の進化は一段と加速しているのだ。

いかがでしょうか?世界を変えるゲノム編集技術クリスパーの影響力、その裏に潜む人間ドラマは大変興味深いですね。

補足

・ゲノム編集技術とは遺伝子の本体であるDNAの狙った位置を「編集」し、その生物のすべての遺伝情報であるゲノムを改変する技術である。

・CRISPR/Cas9が従来のゲノム編集(ZFNやTALEN)に対して著しく遺伝子組み替えを大幅に簡単にする理由は、後者がDNA塩基配列を用いるのに対して、前者はRNA配列を用いることである。RNAはDNAに対して設計が非常に簡単なのでゲノム編集自体も簡単に行えるのだ。

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

ゲノム編集技術はAIと並ぶレベルの革命だろう。ユースケースもイメージし易いため、あとは技術の進歩を待つだけだと言える。本技術を用いればhumanはneo-humanになれるだろう。この点については「サピエンス全史」ともつながる。

他にはこんな意見も。

個人的にはデザイナーベイビーには賛成である。優れた性質を持って生まれたい、そんな子供を産みたいという願望は人が健康でありたいというのと同類の願いである。それを遺伝子を編集して実現できるなら、出来るようにするべきだと思う。

以上です。皆さんは本書を呼んでどんな感想を持たれたでしょうか?

まとめ

今回は夢のゲノム編集技術であるクリスバーについて取り上げました。 次回はSBC#6で発表された喰い尽くされるアフリカ 欧米の資源略奪システムを中国が乗っ取る日をご紹介します。

Sendee Book Club#5:その他の発表図書、関連図書

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

ローマから日本が見える (集英社文庫)

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Sendee Book Club vol4【重力波が奏でるは宇宙の調べ】

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重力波は歌う

今回は2016年10月8日に開催されたSendee Book Club #4で取り上げた図書の一冊 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち をご紹介致します。

重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

重力波は歌う:アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

本書の著者はジャンナ・レヴィン。本コロンビア大学バーナード・カレッジの物理学・天文学教授でもある彼女は、重力波検出を実現したLIGOのの研究者達へインタビューを行い、この世紀の発見の裏側にどんなドラマがあったかを明らかにしました。

人類と重力波との初めての邂逅の裏には何があったのでしょうか?

早速要旨を見ていきましょう。

要旨

・米国のレーザー干渉型重力観測所(LIGO)は、2015年9月重力波の観測に成功した。これにより人類は宇宙を解明する新しい耳を手に入れた。

・存在するか分からない、かつ検証に多大なるお金がかかる重力波の実験を実現させた最大の要因は科学者たちの信念であった。

・ビッグサイエンス(多大な人員と予算を費やして真理の解明に挑むこと)の成功には、科学的な素養だけではなく政治的素養も求められるのだ。

いかがでしょうか?重力波発見の裏には、科学的な試みではなく政治的な駆け引きもあったようです。偉大なる成果には、真理に対する真摯な姿勢だけでは足りず、人間社会の綾をとき解くしたたかさも必要なようです。

補足

重力波とは質量を持つ物体の周囲の時空が歪みその運動が波動として伝わっていく現象。重力波は物質媒介無しで伝わる。素粒子によって伝わる波である電磁波とは異なる。

重力波の検出は困難を極める。LIGOが観測した重力波は、陽子の直径の1/10,000に満たない長さだけ地球を引き伸ばした。しかしそのエネルギーは太陽10億個分の1兆倍を上回るという途方もないエネルギー。LIGOはそれを、一辺4kmのL字型計測器を用いて計測した

重力波の一番の特徴では透過性の良さ。これにより重力波は光や電波でえないブラックホール中性子星の解析に応用できると期待されている。同様の理由によって重力波は、宇宙の誕生(ビッグバン)直後を見ることができる唯一の手段であると考えられている。

http://granite.phys.s.u-tokyo.ac.jp/168/168.htm

参加者の見解

本書籍の内容に対して参加者からはどのような意見が出たのでしょうか?順に見ていきましょう。

真理の探求には大いなる困難が伴うものである。それは世界の一流の頭脳を集めた場合でも例外ではない。逆説的に言うならば、名も知られていない人間が真理の発見だと称して吹聴することは、常に警戒してしかるべきである。

古今東西、情報の非対称性を利用してハッタリをかます人間は後を立ちません。しかしそのような場合、私たちは情報の真偽を判断するための前提知識を有していないことがほとんどです。そんな場合でも、現代において科学の新発見というものは世界の一流の頭脳と潤沢な予算をもってしても難しいということを理解しておけば、怪しい言説に惑わされずに済むでしょう。

先端的な科学は常人には到底理解できるものではなく、その有用性も伝えられるものではない。またその時点では化学者でさえ社会における有用性はわかっていないことが多い。そんな状況でいかに税金を使って科学を進めていけばいいのだろうか?これは民主主義のジレンマと言えるだろう。

いかがでしょうか? 本書を呼んで皆さんはどのような感想をもたれたでしょうか。

まとめ

今回は人類初の重力波の検出の裏側を描いた重力波は歌うを取り上げました。 次回は#5で発表されたゲノム編集とは何かを取り上げます。

Sendee Book Club#4:その他の発表図書、関連図書

ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦

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