SBC#21 【鬱が危機のリーダーを育てる?】~ 一流の狂気

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課題図書

今回は2017年2月11日に開催されたSendee Book Club #21の図書の中から 一流の狂気をご紹介致します。

一流の狂気 : 心の病がリーダーを強くする

一流の狂気 : 心の病がリーダーを強くする

狂気こそが危機のリーダーに求められる。

著者はこの仮説を、シャーマン、チャーチルなどの歴史上の偉大なリーダーの事例をもとに証明します。

彼らが有していた狂気をどんなものだったのでしょうか?

そしてその狂気は、彼らが危機に立ち向かう際にどのような影響を与えたのでしょうか?

要旨を見ていきましょう。

要旨

  • 危機の時代には正気ではなく、狂気(躁うつ病うつ病)のリーダーが求められる。危機に際しては、クリエイティヴィティ(創造力)、リアリズム(正しい現実認識)、エンパシー(共感力)、レジリエンス(精神的反発力)、の4つの特質が必要とされ、狂気にはこれらの特質を高める効果があるからだ。

  • 著者はこの仮説を補佐する事例をいくつか紹介する。南北戦争北軍を勝利に導いた将軍シャーマン、CNN創設者のターナーの事例は、双極性障害が創造力を強化することを例証する。リンカーンチャーチルの事例は、うつ病と正しい現実認識の強い関連を示す。ガンジーキング牧師の事例は、うつ病と共感能力に強い結びつきがあることを示す。またフランクリン・ルーズベルトジョン・F・ケネディの事例は、躁と精神的反発力の緊密な関係を示している。

  • 危機の時代に正気のリーダーは誤った決断をする傾向がある。なぜなら、彼らには危機時に必要な前述の4つの能力が欠けているからだ。著者はこの仮説を、チェンバレンチャーチル、マクラレンとシャーマンなどといった、同じ危機に対応した正気と狂気のリーダーの対比で説明する。

  • 本書は精神面においてこれまで不利だと思われていた人たちに光をあてるものだ。これまで精神的に不安定であることマイナスであると考えられていた。しかし本書はそのような者がむしろ、より活躍出来る機会があることを明らかにした。その意味では本書は、昨今の社会的弱者の価値を認める動きを精神性にまで拡げたものと捉えられるだろう。

参加者の見解

本書に対し参加者からは次のような意見が出されました。

精神的な疾患(狂気)を抱えた者でも、正気の者より活躍できる機会が存在するという事実は、狂気の者に大きな勇気を与えるだろう。

たとえ精神的な疾患を抱えていようとも、市場を選べば他より優位に活躍できる。この事実は、市場の選び方の重要性を示しています。

本書の主張は耳を貸す価値のある独創的なものだが、自説に都合の良いサンプルだけを持ってきて論を展開しているように思われる。科学的根拠には乏しいものだと認識すべきだろう。

確かに本書の主張は科学的な証明とは言えません。反証可能性に乏しいのが本書の難点です。

狂気が高める4つの特質、これらは狂気でしか高められないのだろうか。狂気を持って生まれなかった者でも、危機に役立つこれらの特質を手に入れられる方法があれば知りたい。

参加者から上がった意見は以上です。皆さんはどのような意見を持たれましたか?

まとめ

今回は狂気こそが危機のリーダーに求められることを説いた一流の狂気を取り上げました。

次回はSBC#22で発表された米中もし戦わばをご紹介します。

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