ZBC#52 [日本式外交のロールモデル] - 小村寿太郎
課題図書
今回は2017年7月19日に開催されたZenport Book Club #52の図書の中から小村寿太郎をご紹介致します。
- 作者: 片山慶隆
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/12/17
- メディア: 新書
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日本の外交力
戦後の日本しか知らない我々は、それに対し好意的な印象を持つことは難しいでしょう。
しかし、本書で取り上げられる小村寿太郎が、外交の一線で活躍した日清戦争からポーツマス条約締結に至るまでの期間は、日本の外交力は一流だったと言っても過言ではありません。
そんな彼の外交哲学とはどんなものだったのでしょうか?
要旨を見ていきましょう。
要旨
小村寿太郎は日向国飫肥藩の生まれ、非藩閥の出身であった。しかしながら、幼少からその能力を高く評価された彼は、大学南校進学(後の東京大学)、第一回文部省留学としてのハーバード大学への留学、外務省入省、果ては外務大臣就任という足跡を残していく。
小村の外交官としての最大の成果は、日英同盟締結、並びにポーツマス条約の締結である。彼はその粘り強い精神力、類まれな勉強量に裏付けられた洞察力により、日本の国益に寄与する稀有の実績を多く残した。
小村は、貪欲に国益を追求する外交官だった。彼は日本の国益を追求できる場面ではやや強引とも呼べる形で自説を押し通した。一方で彼は、国際協調を重視するバランス感に優れた外交官でもあった。それは日露緊張時の日英同盟の締結、日露戦争後に素早く結んだ日露協約などに垣間見ることができる。
参加者の見解
本書に対し参加者からは次のような意見が出されました
以前取り上げたニクソンの外交における強みが大局観だとすれば、小村の強みは、その粘り強さだと言って良い。ポーカーフェイスを貫き感情を出さす、相手が折れるまで粘る。シンプルなように見えて実は交渉に一番必要なことを、彼は外交の最前線で体現した。私はここに、日本人が目指すべき外交のロールモデルがあるように思える。
近代日本、少なくとも第二次日英同盟までの外交は一流であったと言っていい。パワーバランスを考慮し、自国の国益を貪欲に追求しつつも、引くところは引く。その動きは一流棋士の棋譜のようでもある。
まとめ
今回は、近代日本外交の体現者、小村寿太郎の生涯を綴った小村寿太郎を取り上げました。
次回はZBC#53で発表された華麗なる交易をご紹介します。
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